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「という事は僕も死んだのですか? この電車は夢なんですか、それともここは一体どこなんですか、僕はどこにいるんでしょう」
「いいですか剛くん、気をしっかり持って聞いてください」梨花子先生は剛の瞳を優しく見つめ、そして言葉は力強い。
「…」
「この電車は魂の故郷、現世からみたらあの世へ向かう電車です。今あなたは肉体から離れた魂の存在です。でもまだ肉体と魂をつなぐシルバーコードが切れた訳ではありません」
「ど、どういう事なんですか? 」
「剛くんは今、生と死の境にいます。このまま電車に乗って魂の故郷へと帰るか、現世で留まり人生を切り開くか、選択を問われています」
「…」
「あまり時間はありません、次の駅が終着駅です。その先にあるのはあの世への旅立ちです」
剛は何を言われているのか理解ができなかった。今の状況を全く把握できずにいた。
「私は今、亡くなったばかりの魂をケアする神様のお手伝いをしています。剛くんとあなたにまつわる全ての人の担当になっています。時がくれば、宏くんや純也くんにも会う事になるでしょう」
「そうなんですか? 」
驚きを隠せない剛をよそに、穏やかな表情を浮かべる梨花子先生。
「私はあの町でたくさんたくさん愛を頂きました。剛くんたちをはじめ子どもたち、教員のみなさん、町に住むたくさんの人たち、言葉では言い表せません。だからこそ、死んだ後もみなさんに直接ありがとうと言いたくて、この仕事をさせて頂いているんです。みんなから貰った『みんなの得意なもの』も持っています。お見せしますね」




