表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
第3章 「交差」 『繋がる宿命の糸』
93/151

11-3

 付き合い始めて二年経った時、剛はプロポーズした、そして去年の一月に結婚。結婚を決めて諸岡に伝えた時、これまでの人生でここまで驚いたのは初めてだ! と諸岡は大声をあげた。その頃既にプロダクションマネジャーとして働いていた松永由紀をはじめ、近くにいるスタッフの間では、二人が付き合っているのが噂になっていたのに、諸岡だけは全く気が付かなかった。確かに剛と香織は付き合っている事を周囲には隠していたが、そうそう隠し通せるものじゃない。諸岡が恋愛に疎すぎるのだ。でも諸岡は自分の事のように大喜びした。

 結婚式を挙げた後も二人は、クリエイティブ部の諸岡の下で働いていたが妊娠を機に香織は退職。

 今年の四月に佳奈が生まれた。


 香織はソファで眠りに落ちた由紀に、夏かけ布団をかけてやると佳奈が泣き出した。お腹がすいた泣き方だった。揺りかごから抱き上げて由紀の足元に座ると授乳を始めた。

 母親は授乳の時間に穏やかな幸せを感じるというが、この時ばかりは幸せに浸る心境にはならなかった。常に剛の事が頭から離れない、いいようの無い不安と恐怖心がひたひたと襲ってくる。

 と、おぎゃ! 小さく泣く佳奈。

 佳奈の顔を見つめる香織。澄んだ瞳がじっと見つめている。心の奥底まで届くような透明さだった。

 そして佳奈が小さな微笑みを浮かべた。

 その微笑みは香織を包み込むようだ──香織の不安と恐怖が和らいでいく。

 お腹がいっぱいになった佳奈は満足して再び眠った。そんな佳奈を見ながら香織は思った。よし、由紀ちゃんにご馳走を作ってあげよう! 冷蔵庫にあるありったけの物を使って料理をしまくろう!  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ