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と、列から純也が歩き出てくると梨花子先生の前に立った。手には色紙や包装紙でデコレーションされ、リボンのかかった大きめの箱を持っていた。
拍手をやめて純也を見つめる。純也は箱を差し出した。
「梨花子先生に感謝を込めたプレゼントです。どこに行っても僕たちの事を忘れないで下さい」
梨花子先生は大事そうに箱を受け取った。
「子どもたちが考えてこの会を作りました。プレゼントもみんな子どもたちの手作りです。梨花子先生さあ箱を開けてみて下さい」校長先生は優しくそう言った。
ゆっくりリボンを解く梨花子先生。そして震えた手つきで箱の蓋を開ける。中に入っていたのは手作りのリリアン、お手玉、紙ヒコーキ、折り紙で作った飾り物、粘土で作った置物、イラスト、絵画、剛、宏、純也の大きな魚拓もある。全部で四十九個の手作りの品が入っていた。
剛が言う「この小学校の子どもたち全員の得意なものです。梨花子先生今までありがとうございました」
梨花子先生は箱を強く抱きしめ、瞳から溢れ出る涙も拭おうとせず、一生懸命子どもたちの顔を見回した。そして言葉にならない声で言った。
「みんな本当にありがとう」
と、割れんばかりの拍手が起こった。




