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なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
第3章 「交差」 『繋がる宿命の糸』
84/151

8-4

 兎追ひし 彼の山

 小鮒釣りし 彼の川

 夢は今も 巡りて

 忘れ難き 故郷


 剛も宏も純也も決してふざけない。教室にいる全員が梨花子先生の教えどおり、心を込めて歌っている。

 梨花子先生は堪えていた。涙が出そうになるのを必死に堪えていた。瞳を大きく開いて、子どもたち全員の顔を記憶に刻んでいた。


 如何にいます 父母

 恙無しや 友がき

 雨に風に つけても──梨花子先生の瞳から一粒の涙が頬を伝う。


 思ひ出づる 故郷


 ──梨花子先生の瞳から…瞳から次々と頬を伝う…


 志を 果たして

 いつの日にか 歸らん

 山は青き 故郷

 水は清き 故郷


 ──歌い終わって静寂がおそう。


 梨花子先生は潤んだ瞳で教室にいる全員を見つめていた。そして椅子に花束を置いて立ち上がると拍手をした。たくさんたくさん拍手をした。

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