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その日の日直は宏と怜ちゃんだった。男女二人で職員室へと向かう。
職員室は梨花子先生と副校長先生しかいなかった。
宏と怜ちゃんは職員室のドアを開けていつものように先生に声をかけた。
「帰りの支度ができました」
梨花子先生は二人を見つめると微笑んだ。
「はい、帰りの会をしましょう」
と、それを聞いた副校長がいった。
「一緒にいっていいですか? 」
「え、ええ」
こうして副校長と宏に怜ちゃん、梨花子先生は廊下を歩いて三年一組に向かった。
「先生、この一年どうでしたか? 」副校長先生はいった。
「はい、とっても素敵な子どもたちに囲まれて幸せでした、ね宏くんに怜ちゃんありがとう」
照れ臭そうな宏、笑顔の怜ちゃん。
「うん、先生大好きです」怜ちゃんが大声でいった。
「我々教師も同じです、先生の朗らかさにはいつも助けられました。みんな大好きでした」
「今までありがとうございました」
「いえ、お礼を言うのはわたし達です。この田舎町の小学校でよく頑張ってくれました。ありがとうございました」
しんみりする梨花子先生。
やがて三人は三年一組のドアの前に立った。すると、怜ちゃんと宏がドアの前に駆け寄る、先生を見て微笑むと「せーの」掛け声と共にドアを開けた。




