4-1
「うわぁ! 」
現実世界のトンネルの中で剛は目を覚ました。
暗闇だ、ここはどこだ?
何も考えられない、何が起こったのか分からない。
身体を動かしてみた。
上半身は辛うじて動かせられるが、下半身は何かに挟まって動かない。足がズキズキ痛む。それどころか身体中が痛い──自分の状況が理解できない。
深呼吸をしてみる。どうやら生きているようだ。蒸し暑い、汗が後から後から吹き出している。
天井の辺りをまさぐってみる。頭にかなり近いところに天井がある。
左右を見回す。助手席の窓ガラスが割れて、岩が迫ってきているのが薄っすらと見える。
天井をまさぐっていた手にルームランプが当たった。それも顔のすぐ横にあった。いつもと位置が違う。試しにルームランプをつけてみる──点いた。辺りが明るくなった。
状況を見て息を飲む。
フロントガラスはヒビが入っているが、割れていない。しかし土がギッシリ詰まっている。
助手席のガラスは割れて巨大な岩がむき出している。
シートの後ろにも、後部座席を潰すようにして車内に落ちてきた巨大な岩があった。剛の頭上で重ねるようにお互いを支えている二つの巨大な岩。
その二つの岩に護られて剛は潰れなかった。




