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外を見る剛、そこには江別市の田園風景と山並みが見えていた。
「あれ、何だか懐かしい風景だ」
「──」
「小学生の頃、よく裏山の渓流に行って釣りしてたな」
「小学生…渓流、釣り…」
「うん」
「そうだ剛、あなたの初恋って誰? 」
咄嗟に香織を見る剛。
「なんだよ突然」笑う。
「大切な事なの」真剣な眼差しの香織。
「…」
「今、釣りの話をしたわよね」
「うん」
「渓流の事を思い出して苦しくないの? 」
「別に」
「息苦しくならないの? 」
「なんで、大丈夫」
「じゃあ教えて、今しかないわ」迫る香織。
剛は勢いに押されて応えた。
「うーん加藤梨花子先生かな、小三の時の担任の先生、とっても綺麗だった」
「違う違う! 」声を荒げる。
「な、なにが? 」
「同世代の子供に対する初恋よ」
「え? 」
「どうなのよ!」




