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なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
第3章 「交差」 『繋がる宿命の糸』
63/151

1-3

 若い二人は、命を失う恐怖を身体中で感じていた。

 しかし徐々に正面が明るくなってきた。トンネルに差し込む太陽光が出口を照らしているのだ。

「もう少しだ」と男性が思った時、前方天井のコンクリートブロックが降って来た。

「ああああー」男性はアクセルをもうひと踏みした。

 ロードスターに向かって落ちてくる黒い影。

 助手席の女性が上を見る。巨大化してくるコンクリートブロック──全く声がでない。

 唸るエンジン。加速するスピード。


 ──間一髪だった。


 ロードスターは大量のコンクリートブロックの下を潜り抜けた。ガゴン! ガコン! ガコン! 重低音が木霊する死のトンネルを抜け出た。それと同時にズズーン! 野太い音が辺りに響き渡ると沈黙が襲ってきた。

 男性は青空が広がる直線の道でブレーキを踏んだ。

 次第に速度が落ち、スピードメーターがゼロになっても、二人は正面を見たまま動けなかった。身体中ずぶ濡れで埃が纏わり付いていた。二人とも無言だ。

 しばらくして男性が大きく息を吐くと、緊張の糸が切れた彼女が顔を手で覆いしくしく泣き出した。男性はそんな彼女の肩を強く抱き寄せた。

 そして男性は恐る恐る振り返る。

 トンネルだったところは土が埋め尽くされ不気味に黒かった。その隙間からは水が溢れ出し、山肌も陥没していた。

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