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なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
第3章 「交差」 『繋がる宿命の糸』
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1-2

 立て続けに鳴り響く大きな物音に気がついた若いカップルは、ロードスターをトンネルの途中で停めて振り返った。レンタカーの後ろにはかえわぞえひかり幼稚園のライオンバスが続いていた。


 たけし先生は思わぬ展開に必死にブレーキを踏んだが遅かった、レンタカーの後方をかすめ出口を塞ぐ瓦礫や岩に正面からぶつかった。


 その衝撃でフロントのライオンのオブジェと運転席は簡単に潰れた。


 この振動に地盤が耐えきれなかった。天井を支えている土や岩が地下水を伴って、次から次へと崩れ落ちて来たのだ。レンタカーとライオンバスは一瞬で下敷きになった。

 同時に天井に残っているコンクリートブロックが、連鎖するように落ちてくる。

 それを見て恐怖に震えるカップル。二人とも正面に向き直り、男性はギアを入れるやいなやアクセルを思い切り踏んだ。


 ゴゴゴ、ゴゴゴ…。


 辺りに鳴り響く不気味な重低音。


 男性は更にアクセルを踏み込んだ。スピードが上がるロードスター、助手席の彼女の長い髪が無茶苦茶に風を切る。「いやああああ」恐怖に耐えきれず大声を上げる。

 コンクリートブロックと土や岩が次々背後に降り注ぎ、土煙がトンネル中に舞い上がる。


 トンネルは確実に潰れはじめている。一瞬でも気を抜けば巻き込まれるのは必至だ。

 男性のハンドルを握る手はこれ以上ないほど強張り、汗が滴り、息苦しい。土砂崩れは容赦なく襲ってくる。アクセルを踏みっぱなしの男性。降り注ぐ地下水が二人の全身をびしょ濡れにするがそんな事になど構っていられない。とにかく逃げ切るしかない。だが、視界は土煙りで覆い尽くされ、頼れるのは左右にわずかに見えるトンネルの照明だけだった。

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