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幼稚園から動物園へは四十分程度で到着する。途中四号トンネルの手前で旧道に入り、トンネルを三つ抜けて動物園へといくルートだ。
道のりは順調だった。
幼稚園から一般道を通り旧道にはいると四号トンネルに向かってバスは走る。車内では子どもたちが楽しそうにお歌を歌ったり、お話をしたり──。
それは突然起った。
四号トンネルまであと二百メートルくらいの直線で、道路が揺れ始めた。
最初に気がついたのは運転しているたけし先生だ。子どもたちはお歌に夢中で気がつかない。
たけし先生はハンドルの違和感からハザードを出して路肩に停まった──バスが八時丁度に出発していたら、この時既に四号トンネルを抜け出てていただろう。
「地震! みんな座席に捕まって」たけし先生は叫んだ。
その後更に揺れは大きくなる。右へ左へ激しく揺れ動くライオンバス。
外の景色もあらゆるものが震えている。
まみ先生とみゆき先生、ともみ先生は座席の前、中、後ろに座っていたので、近くの子どもたちに精一杯声をかける。
「捕まって、座席に捕まって」
「怖くない怖くない」
「ライオンバスは強いから大丈夫」
子どもたちは無言でしがみつき、動かない。揺れは激しかったが、五分程して収まった時車内は静かだった。
まみ先生は揺れが収まると同時に立ち上がって全員を見渡した。




