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お父さんはどうしていいか分からず、里奈を力強く抱きしめるとなだめるように言った。
「大丈夫だよ、大丈夫、それに里奈だって年長さんになったら動物園遠足にいくんだし」
「イヤダイヤダ」今度はお父さんの首にしがみつく里奈。お父さんは抱きしめる事しかできない。
走って行った達也はまみ先生の腕に潜りこむとハイタッチ! 『イエィ』バスに乗り込んだ。
「わあああああ」バスの中で歓声が上がる。
「遅れてごめんなさい」達也は大声で謝りゆうくんの隣に座った。
「出発だ」ゆうくんが大声で言うと「しゅっぱつ」の声があちこちから聞こえてきた。
「それじゃみなさん、行ってきます」まみ先生は見送りの親御さんにそう言うとドアを閉めた。
バスのデジタル時計は八時七分。
動物園へ向かってライオンバスは出発した。




