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なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
第2章 「進藤 達也」(シンドウ タツヤ) 『命の連鎖は途切れない』
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3-1

 進藤達也と妹の里奈はリビングのテレビの前で微動だにしなかった。そして五時丁度にプニュプニュぽっぷんのテーマソングが流れるないなや、テレビに映った結城純恋──番組での愛称は『ユキミン』と同じ振りで踊り始めた。軽快なリズムにのって優しいユキミンの歌声が流れ、それに合わせて考えられたダンスは良くできていた。子どもたちは踊りと歌を刷り込まれ、この曲がかかると踊らずにはいられないのである。

 幼稚園ではダンスの時間にこの曲を使っていた。商店街の催しでダンスコンテストの課題として使われたり、電気屋でもテレビのデモでこの曲のプロモーションビデオを映していたり、魚屋や肉屋が店頭で客寄せに流したり、とにかく子どもたちはこの曲が聞こえてくる度に、身体が勝手に反応し歌い踊るものだから、子ども連れのお客さんを足止めするのに都合が良く、ありとあらゆる場所でこの曲は流れていた。


 番組のプログラムは定番の体操のコーナー、工作のコーナー、クイズのコーナー、アニメやドラマなどがあるが、それぞれに飽きさせない工夫がふんだんに取り込まれていた。中でもユキミンがCGの世界を大冒険する「超絶ユキミン! 大冒険」のコーナーが達也は一番のお気に入りだった。恐竜、宇宙、昆虫、植物、地底人、深海の世界などを行ったり来たりしてスリリングな旅をするものだ。その中でユキミンが笑い、時には怯え、考え、行動する、その全てが愛らしくたくましく、元気だった。加えて全体構成が巧みで幼稚園児から小学生まで、幅広い層の子どもたちが楽しめる番組作りがされていた。

 この番組は六時までの一時間番組なので、その間にお母さんたちが夕飯の支度をするのに都合がよかった。お陰で視聴率は常に二十パーセントを超え、加えて結城純恋のファンでこの時間は働いていて観られない人たちは、録画して欠かさず観ていた。純恋はこの他にもドラマにバラエティーにアニメの声優、歌番組と引っ張りだこ。その全てが高視聴率をマークした。

 歌って踊れ演技ができ、そして老若男女問わず愛される。まさしく国民的アイドルに成り上がっていた。

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