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なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
第2章 「進藤 達也」(シンドウ タツヤ) 『命の連鎖は途切れない』
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1-2

 明日は動物園へ遠足にいく。


 かわぞえひかり幼稚園は、すみれ組、ばら組、ひまわり組の三つが年長組だが明日はすみれ組だけが行く事になっていた。残りの二組は一日づつ遅れていく。動物園までは通園で使っている三台のマイクロバスのうち通称「ライオンバス」と呼ばれるフロントに優しい目をしたライオンの顔、ピンと立った耳、勇ましいたてがみのオブジェとリアに尻尾のついたバスが使われる事になっていた。黄色と茶のペイントがポップさを醸し出している。他の二台はライオンバスのようなオブジェはついていない。

 加えて、普段すみれ組は十名がバス通園なので、残りの二十名はライオンバスに乗る機会が少なく、その事が子どもたちの期待感とワクワク度を更に高めていた。


 お別れ会が終わると教室にはお迎え組二十名が残った。誰もが床にぺたんと座り、心配そうな目をして教室のドアが開くのを今か今かと待っている。必ず身内の誰かが迎えに来てくれるのが分かっていても、園児たちは毎日心配なのだ。多くの園児はお母さんがお迎えに来るが、お父さんやおじいちゃんやおばあちゃんが来る時もある。身内の方は一人が教室に入ったらドアを閉め、廊下で並んで待っている決まりになっていた。

 お迎えの順番が早ければ早いほど園児の喜びは大きい。そういった意味では進藤達也は不満があった。今年になって妹の里奈が年少組「コアラ組」に入ったからだ。

 お母さんは小さい里奈を先に迎えてから達也を迎えに来る。だから不安な時間が長くなったのだ。それに愛情も二番目になってしまったように思えてなんだか寂しい。


 達也はいつもゆうくんと並んでにお迎えをまっている。ゆうくんは一番のなかよしだ。でも二人とも無言だ。無言で不安そうにドアを見ている。

一人二人…お迎えが来て、教室に残っているのは十名の園児たち。

 ドアが開いた。誰かが入ってくる。

 ドキドキする。

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