10-2
「剛、運転代わる」
「ここから数キロだし、俺が運転しますよ、大丈夫っす」
「駄目だ、ここからは俺が運転する」諸岡は自分でも驚くようなキッパリとした口調で言った。
「…」
「いいから代われ、夜通し運転してんだから事故でも起こされたらかなわん」強張った表情を崩しながらそう言った。
「分かりましたっと」
そして外に出てドアを閉めた瞬間、激しい揺れが襲ってきた。
地震だ──震度五、六、いやそれ以上かもしれない。
揺れが酷くまともに立っていられない。
二人は地べたに座り込んだ。
コンビニエンスストアの中から何かが割れる甲高い音が響いてくる。「きゃあああ」女性従業員の悲鳴が聞こえる。
「お客様、商品で怪我をしないようお気をつけ下さい」男性従業員が声を荒げる。次々聞こえてくる破壊音。ガラガラガラガラ…商品が棚から崩れ落ちる。ガシャン! ガシャン! ガシャン! ガラスや瓶が割れている。
駐車場のトラックの荷台の中で荷物がガチャガチャ音を立てる。運転席のドライバーもハンドルにしがみつき、荷台を気にしている。
周りの木々がまるで台風の中にあるように激しく揺さぶられ、街灯や送電線、電柱などの人工物も不規則に揺れ動いた。地上にある全ての物が抵抗出来ないでいた。




