43/151
10-1
剛は諸岡の電話の声で目を覚ました。
車内の時計は八時、三時間程寝ていた。
駐車場にはレンタカーの他に大型トラックが一台停まっているのが見えた。荷台のマークから三清山賀製薬の定期便である事が解る。同じように始業時間まで時間調整をしているらしい。
「…そうですか、社長は本日定時出社のご予定ですね、九時前には到着しますのでよろしくお願いします、失礼します」
電話を切る諸岡。
「三清山賀製薬ですか? 」
「ああ、広報部長の携帯だ。明日の撮影中止のお知らせと、今日のアポイントを取っておいた、くれぐれも丁寧にな」口元で笑う諸岡、スーツを着たサムライは臨戦態勢に入りつつあった。
「海千山千の諸岡さんがいるから大丈夫っす」
「ふん、それより腹減っただろ、なんか買って来るから待ってろ」
というと助手席を出てコンビニエンスストアに向かった。
二人は車内で諸岡が買ってきた弁当を食べながら、打ち合わせの進め方を最終確認した。
そして八時半。




