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レンタカーは、首都高速道路を後に関越自動車道へと入っていった。時速九十キロをキープしつつ順調に距離を伸ばしている。高速道路には大型の長距離トラックが前後左右を囲むように走る。巨大な車体を猛スピードで走らせ先を急いでいる。
剛は一番左の車線を走り、トラックと絡まないように気をつけていた。
それでも、道中何処かで事故が起きないとも限らない。日本の高速道路は一箇所事故があると直ぐに渋滞が始まる。三清山賀製薬の始業時間に間に合わす為には、早めに工場の近くまで行っていたかった──高速道路では休憩を取らないつもりでいた。
車内では三清山賀製薬にどういう態度で打ち合わせに望むかを話しあっていた。ある意味二人は阿吽の呼吸なので、諸岡が主導権を握り打ち合わせを進行して、剛が節々でフォローを入れる。そんないつものパターンは確立しているが、今回の場合は何時もと状況が違うので、慎重に慎重を重ねて進めないといけない。
ただ不幸中の幸いな事にキャスティングを極秘で進めてきたためプレス発表をしていなかった。勿論、三清山賀製薬の山賀社長と広報部の社員は誰が出演するかは知っている、だからこうして三清山賀製薬まで行くのだが──お陰でこれから展開するキャンペーンにケチが付くのは防げた。一度ケチがついた広告は、他のタレントが出演したがらないので、そういう意味ではこのプロジェクトの仕切り直しをしやすかった。




