表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
第1章 「永澤 剛」(ナガサワ ゴウ) 『全ての出逢いが人生を紡ぐ』
37/151

7-6

「覚えてねえな純也」

「ああ、全然思い出せん」

「そっか、背中の傷と関係あると思うんだけど、全く思い出せない」


 剛の背中には三十センチ程のミミズが這ったような形の傷が五つついている。小学生の剛は傷に関する事を思い出そうとすると、身体が過剰に反応して、息苦しいというより息ができなくなる程になった。それは大学生になっても変わらない。二人はそんな様子を見ると痛々しかった。

 だから小学生の時から二人は何も言わなかったし、剛もその事を考えないようにしていた。


「親父とお袋さ、俺が大人になって苦しまなくなったら、その時何があったのか教えてくれるって言ってたのに、もう聞けなくなったじゃないか」

 下を向いて肩を震わせた。

「我慢すんなよ剛」宏が言った。

「宏も俺も剛も二十歳になった。もう子供じゃないっしょ。我慢しないで思いっきり泣けや、泣くだけ泣け」

「そうだべ、ブチまけろ、今日は聞きに来たんだ」

 剛は顔を上げた。そこにはあの頃から、一まわりも二まわりも成長した宏と純也が真っ直ぐな目で剛を見つめていた。

 そして堪え切れなくなり、震える声で取り留めない両親の話を始めた。二人も両親の事はよく知っていたから、時々相槌を打ちながら話を聞いた。  


 そしていつの間にか、宏と純也も涙目になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ