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ドアノブを回し玄関を開けると見慣れない同世代の男が二人立っていた。
「俺だよ俺」
ひょろりと背の高い男性が勢いよく言った。
「…」わからない。
「宏に、俺は純也だべや」今度は筋骨隆々の背が低い方が応えた。
「宏に純也? 」
二つの顔を凝視する剛。脳裏に小学生の頃の情景が蘇って来た。
「高橋宏に伊東純也か? 」
「そうだべや! 」二人は同時に応えた。
「すんげぇ久しぶり」
三人は久しぶりの再会に肩を叩き合った。
「新聞で事故の記事読んでさ、少し落ち着いてから行こうって純也と話しして、今日きてみたんだ」宏が言った。
「酒でも飲むべ」純也が言った。
手には酒やおつまみがたくさん入った袋を持っていた。
高橋宏と伊東純也は小学校の同級生だった。一クラスしかなく、六年間一緒のクラスで悪ガキトリオとしていつもつるんで遊んでいた。中学も同じ中学校に通いクラスが違っても仲の良い友達だった。
剛の実家のあるこの町は、観光地でもなくベッドタウンでもなく、山に川、田んぼに畑がいっぱいの田舎町だったから、三人は渓流釣りが一番の遊びだった。釣りに飽きると川に入って泳ぐ。冬は雪深くなるので、雪合戦に沢スキー、家の中でゲーム。そんな小学生だった。




