表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なぜ生きるか? それが知りたい!  作者: 赤木 爽人
プロローグ 「結城純恋」(ユウキ スミレ)
12/151

4-5

 仕事帰りの女性が、その地面を歩いていた。何時ものように会社から帰っていた。その目の前に人間が頭から落ちてきた。そして、勢いよくアスファルトに叩きつけられた。

 グシャ!

 歩いていた女性は何が起きたのか判らなかった。ほんの五〇センチほど先に落ちてきた物体を見つめた。街灯に照らされたそれは、頭蓋骨が割れ、脳味噌が飛び散っていた。手足は普段なら決して曲がらない方向に向いて、腰はくの字を描いていた。


 女性はヘナヘナと地面に座り込んだ。


 その足に襲いかかるように、頭蓋骨から噴き出したドス黒い血が溢れ出てきた。女性は余りにもの出来事に声が出せなかった。血溜まりに囲まれ目を引きつらせ硬直していた。

 異様な光景に気がついた通りがかりのサラリーマンが数人集まってくると、あるものはへたり込んでいる女性を介抱し、ある者は警察へ電話を入れた。


 そこに後藤が通りかかった。人だかりができて騒ついているのを見て、胸騒ぎが一層激しくなり何事かと近づいた。そして地面に落ちている物体を凝視した。


 一目で分かった。

 紛れもなかった。

 変わり果てた姿の結城純恋がそこにあった。


 こうして結城純恋は二十七歳という短い人生を終わらせた。

 純恋は現世で最大の過ちを犯してしまった。結果的には自ら死を選択した。

 神は乗り越えられない試練を与えない、つまり自由意思の中に自ら死を選ぶという行為は含まれていないという事だ。なぜなら乗り越えるのが学びならば、自ら死を選ぶという事は乗り越えられる筈の学びを放棄するという最悪の種を蒔いた事になる。それは向上を目指している自らの魂を根底から否定する事になるからだ。

 その事に純恋は気がつかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ