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梨花子先生は大きく手を開くと、そこにはデコレーションされたあの時の箱が現れた。
「魂の世界には何一つ物質は持っていけません。肉体ですら魂の器でしかありませんし、お金など意味がありません。持っていけるのは愛と思いと経験です。だから見えているのは私の思いが作った思念体です。みんなから貰った愛の集合です。とっても嬉しかった私の思いです。剛くん本当にありがとう、みなさんの愛が私を成長させてくれたんです」
「先生お礼を言わないといけないのは僕です。梨花子先生に僕は命を救われています。でも何も思い出せなくて、先生が背負ってくれている事しか思い出せなくて、病院にお見舞いに来てくれていた事しか思い出せなくて、上手くお礼が言えてない…」
そんな剛を見て、梨花子先生は静かに話しはじめた。