妹でも可愛ければデートしてくれますか?
第一話以降出番のなかったメインヒロインの九条ネイカの登場です!
未だに能力が明かされていないヒロインであるネイカ、果たして能力が明らかになる時、主人公は……周りの人間はどうなるのでしょうか!?
……っはー!マジめにするの疲れた。
放課後、ほかの生徒達も皆帰宅し、沈黙に包まれた教室……俺は一人、委員長のセリフの意味を考えていた。
「unknownが全員殺害系の能力者……か」
この学園自体色々な能力者がいるのだが、殺害系の能力者の存在は全く知られていなかった。
それどころか、この学園は安全な能力者の育成をモットーにしていたはずなので、そんな能力者がいること自体おかしいのだ。
「……いくら考えてもわかるはずないか」
「何がです?」
「あぁ、んとな…………って!!ネイカ!?」
「来ちゃいました♪」
いや、その年下系彼女っぽいセリフやめてくれよ、惚れるだろ。
「連絡くれたら迎えに行ったのに」
「こういうのは私から出向くからお兄様へのポイントになるんですよ?」
「ちゃっかりしてるわ」
まぁ、そういう所が可愛いなと思ってしまうあたり俺もまだまだシスコンか。
「なんか、悩んでたこととか一気に吹っ飛んだわ、ありがとな?」
「いいんですよ!お返しはベッドの中でお願いします!」
「いや、それは不祥事案件になりかねん」
「むぅー、ケチです」
「そんな言い方してもダメだからな?」
んぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!
かわいいかわいいかわいいかわいい!!!
なにこれ!!なんなのこの生き物!!!
……っといけない、キャラ崩壊しかけたな。
俺は未だに頬を膨らませている可愛い生き物にカフェに行こうと誘ってみることにした。
「なぁ?靴屋はまだまだ時間あるし、ちょっとそこらでお茶していかないか?」
「あー!行きたいです!少しお腹すいたので」
「ん、決まりだな……」
とりあえず、俺たちは学校をあとにし、適当なカフェに入ることにした。
正門から歩いてほどなくのところにあったカフェの名前は《スマイル》……なんだか、学生が入っちゃいけない雰囲気が漂ってくる名前だ。
「ほんとにここか?」
「えぇ!もちろんです!ここでは一息抜いたり、一息でヌいたりできますよ?」
「……帰るか」
「待ってください!!ここまで来て帰るんですか!?それ、妹とセックス出来るのに逃げ出すようなものですよ!?」
いや、その例え間違ってるから、なんで現在の状況を例え話として挙げるかな?
「馬鹿な事言ってないで帰るぞ、あ、いや靴屋にだけ寄って帰ろう」
「むぅ……ほんとに寄らないんですか?」
「カフェに行く、本当の!な?」
「イケズです……」
「何ならもう靴屋だけにしとくか?」
「嫌です!デートしたいです!イチャイチャしたいです!」
俺もしてぇよ!!などとは恥ずかしくて言い難いから俺は「行くぞ」と一言だけ言って手を差し出した。
「……」
ネイカは俺の顔と手を交互に見てハッとなって「はい!」と満面の笑みで答えて俺の手を両手で握りしめた。
×××
ここら辺はカフェと書いてあっても信用ならなかったので俺達は靴屋の近くにあるロメダ珈琲店で一息入れることにした。
「ネイカは何飲む?」
「あ、私も一緒に注ぎに行きたいです」
「なら二人で行くか」
「はい!」
ロメダ珈琲店は珈琲店となっているくせにドリンクバーなどというものがあり、それあってか小さいお子様もチラホラといる。
「さてと、コーラとメロンソーダでいいか」
「なら!私はこのあら汁オレにしておきます」
「やめとけ!絶対不味い!断言しとく!絶対不味い!!!」
「えいっ」
「……」
さすが俺の妹……俺にできねぇことを平然とやってのける……まぁ、そこは直して欲しいところなので痺れも憧れもしないけど……。
「……どうだ?」
「……意外と美味しいです、なんか、アレです!石油みたいな味がします」
「お前いつ石油飲んだんだよ!!?」
「いや、飲んだことないですけど……ありません?食べたことないのに味がわかること」
「ない……ことは無いけど……」
それにしても石油はないだろ……。
「いや、にしても絶対味の表現的に美味しくないだろ!?」
「いえ、この間友達に食べさせていただいたものよりは美味しいです」
「何食わされたんだよ!?」
とまぁ、こんな感じで駄べりながらカフェでのひとときは過ぎた。
「なぁ、ネイカ?」
「はい?」
「ちょっと靴屋に先に行っといてくれないか?」
「なにか、用事でも?」
「まぁな、でもすぐ終わるから先に行って選んだりしといてくれ」
「はーい!」
ネイカはすたたたたたっと、華麗に走り去って行ってしまった。
「やっぱ、俺の妹は世界一可愛いわ」
そんな独り言を呟きながら俺は自分の要件を済ませるためにすぐ近くにある古びた建物へと向かった。
「ふふふーん♪お兄様〜お兄様〜♪」
ここの靴屋は質がいいことで結構な知名度があります。
たとえば、このスニーカー……一見普通のスニーカーのように見えますが、実は、相手のフィールド操作系の能力で足場を悪くされてもその中をいつもと変わらず歩いて行ける能力が付加されています。
「どれにしましょうか……お兄様なら……」
『ネイカになら何でも似合うよ』
「そんな、お兄様っ!私はお兄様にえらんでいただきたいのです!」
『仕方ないな……それなら、これがいいんじゃないか?この愛らしい部分がたまらないよ』
「いやーん!お兄様ー!!」
「ふ、ふふふ、……そして二人はそのままユニバースっ!!!」
「おい、なにがユニバースだよ」
「お兄……様じゃないですねさようなら」
ちょっと期待したのに、なんでお兄様じゃないんですか、ガッカリです。
「お前……あたしに対しての態度酷くないか?……まぁいい、今日はお前にちょっと伝えときたいことがあったんだ」
「なんですか?私忙しいので三秒以内でお願いします」
「せめて、一分くらいはよこせ」
ヤレヤレだぜ……ですね、私のモノローグを強制終了させた上に、私の時間を奪おうだなんて……罪深いにも程があります。
「はいはい、で?なんですか?」
「んとさ……お前の兄貴大会に出るらしいじゃん?」
「えぇ、まぁ」
その点についてはカフェでちゃんと聞いていたので驚くことは無かった。
お兄様もスキル開発に務めなければならないと意気込んでいましたし……まぁ、その大会はお兄様の優勝で間違いないですね。
「それがどうかしました?」
「そんな嫌そうに言うなよ、もう終わるから……えっとな」
「ん?」
「辞退してほしい」
「時代が欲しい?いやですね……あなたなんて絶対流行りませんよ」
「ちげぇよ!お前聞き間違え激しいやつじゃないだろ!?ワザとか……ワザとなのか!?」
「いやぁ、それほどでも!」
「おい、あんまふざけんじゃー」
「それはこちらのセリフですよ?」
お兄様が頑張ろうと意気込んでいることを、何も知らないような輩が台無しにすることは我慢ならなかった……お兄様から何もかもを奪い去っていったお前達はまた、お兄様から何を奪おうというのだ?
「な、お前……さっきと雰囲気が……」
「お兄様は今まで必死に普通になろうとしてきました……それはあなた達が何もかもを奪い去っていったからです!また、お兄様からなにか奪おうというのですか!?ふざけるな!!お前達がお兄様から奪っていいものは爪の垢たりともありはしない!!」
「……ちっ、急に怒りすぎだろ、あーあ、やる気なくなっちまった……もう、何があっても後悔するなよ?」
「……」
「……あんたの兄貴が死んでも、あたし達のせいじゃないからな」
「お兄様は死にません……何があっても……絶対に!」
「へぇ……ならいいんじゃない?せいぜい、苦しまないようにな?」
私のお兄様は死なない、死ぬわけがない、死なせない、死なせるわけがない、苦しまない、苦しむわけがない……お兄様は……
ちょっとだけ人間じゃないのだから。
皆さんはじめまして、九条寧香です。
あとがきにもうあまり書くことがないということで私が受け持ちましたが、どう言ったことを話せばいいんでしょうか?えっと……あ!お兄様の事をお話しましょうか!えっ?そんなことよりも私のことが聞きたい……?
えっと、別に話すことはないんですが……んー、まぁ、誕生日くらいなら……えっと、5月の14日です……もう帰っていいですか?お兄様とイチャイチャしたいです。