鬼と×××
『鬼』と言われて、君は何を思い浮かべる?
尖った漆黒の角? 骨をもかみ砕く大きな牙? それとも、鋭い眼光?
そんなのは昔の話、今の鬼は違う。
鬼の角は『朽ち果て』て腐り『落ち』ているんだよ。
つまり…姿だけの観点だけならヒトと同じなんだ
外見…だけは…ね。
じゃあ心はどうなんだ…って?そんなのは、知らないよ。
『中身』があるのかは…知らないよ。自分たちで考えてごらん。
「×××」
ああ ごめん。 誰か来たみたいだ。
さあ この物語を展開するのは『キミ』だからね。
それを忘れないで。それじゃあー
「おはよう」
ー鬼って結局なんだろう。
真実を”聞きたいか”
それとも
真実を”見たいか”
どちらかを 選択しろ
「ああ…あああ、ごほっ…何てこと…ああ…」
手が震える 感覚が重くなる
目の前には見るも無残な×××の姿
鼻につく鉄の香りと手を染める赤い絵の具
そして 耳に残る悲痛な×××の声
「ああ…やってしまった…また…やって…×××」
今度こそは救おうと何度も何度もやり直したはずなのに
結局のラストは×××は死んでしまう。
あの日から時間は止まったまま
何度繰り返したって あの子は結局は死んでしまう
「どうしたら…どうしたらあの子を救える?」
『クルシイ』と溺れるあの子
『クライ』と埋もれるあの子
『ツメタイ』と凍えるあの子
『ツライ』と飢えるあの子
『タスケテ』と処理されるあの子
『イタイ』と締められるあの子
『シニタクナイ』と燃えるあの子
これは試練なのか あの子を救えと神が言っているのか
さあ まもなく夜が明ける
さあ また始まる 同じ朝を迎えて
目を覚ませ 今度こそあの子を救う日になるように
ーーーーー「おはよう。×××」