副会長とチャラ男による放課後相談部の実態(1)
楽しんでいってください
私立虹彩学園
中高一貫のその学園は表向きは少し設備がしっかりしてる普通の学校だ
だが
裏の学園…教師たちがほとんど干渉しない生徒だけの独立した組織がいくつかある……
―――――――――――――――――――――――
「ここだよな」
僕が今立っているのは虹彩学園部室棟…その奥にある図書室のさらに奥たった一つしかない部屋『書庫室』
ある事情でここに来ないと行けなかった
学校では珍しい引き戸の扉を勢いよく開く
「ほんとに部屋みたいになってる…」
中には通常本が適当に積まれているはずだが
机一つ椅子が二つと置かれており
本は綺麗に棚に並べられている 掃除は良く行き届いていて部屋に電灯がなく薄暗いこと以外 普通の部室と何ら変わらない
「確か手前の椅子に座ってればいいんだったよな」
言われた通りに座り回りを眺めてみる
良く見ると目線の先に小窓がある
構造はよく知らないが隣の小部屋?と繋がってるらしい
「他にはどんなのがあんのかな」
興味津々で周りに目線を反らそうとすると
ピョコン
「ん?」
小窓からなにか見えた気がする
次はじっと見てみるが…その『なにか』は現れない
「気のせいか」
また目を反らす瞬間
ピョコン
見えた 今度は完全に見えたあれは人の頭だった
確か ポニーテールで女子の頭だった
ピョコン
また見えた
「ん?二人いるのか?」
今度見えたのは男子の頭だった
ピョコン…ピョコン…ピョコン……
「な…なんだ?」
今度は次々とさっきの男子と女子の頭が代わる代わる出てくる
思わず小窓に近づこうとすると
ガチャ
「あれ? 人がいるなんて珍しい」
僕が入ってきた扉からまさにチャラ男と言う風の茶髪にピアスの男子が入ってきた
肩をビクッと振るわせた後で慌てて事情を説明する
「あっあの俺 会長からこれ持っていけって言われて…」
紙を一枚 入ってきた男子に渡す
その時に制服のピンを見て学年を確認する
黄色?先輩か…
ちなみに一年 青 二年 黄色 三年 赤 だ
前から思っていたけど信号機を意識したかの用な色だな…
「ん?春一から?……あぁ部活のか」
くだらないことを考えていると…先輩がプリントを手早くとり中身を確認したのちに「ちょっと待ってて」と付け加えて棚をファイルを見る
あの人会長のこと春一って呼び捨てにしてたな
仲良いのかな?…でもあのお堅い会長がチャラ男と友達なんて…考えられないな 爆笑ものだな 会長の前で言ったら絶対半殺しだけど…
じっと眺めているとファイルの中からクリップで止めてあるいくつかの小さな紙切れを持ってくる
「これ領収証とか その他諸々 春一に持っていて」
「あ…ありがとうございます…」
先輩から紙切れを受け取り「それでは僕はこれで…」と言って部屋を後にしようとする その瞬間
「ちょっと待て」
とチャラ男先輩に止められる
「何でしょう…」
不良のような威圧に思わずビビりながら答える
「俺達が何をしている部活か知ってる?」
先輩から投げ掛けられた質問に頭をフル回転させて記憶を辿る
「確か…名目上は図書委員の手伝いや新刊 古書の管理でしたっけ?」
会長から聞いた言葉の受け売りだ
「名目上は」というワードが気になったのを覚えている
「そうだ それで合ってる じゃあ実態は何か知ってるか?」
実態?……つまり名目上じゃない本当の目的だよな…
また記憶を辿るも会長や他の所から聞いた覚えもない
「すいません 知らないです」
嘘をついても仕方ないので恐る恐る正直に言う
「だろうな 知らないのは仕方無い春一にも言わないでくれって頼んでいるからな」
だろうな?…分かってるんだったら最初から聞くなよ…
「そうですか では僕はこれで」
これ以上生産性の無い会話だと判断したので
多少苛立ちながらも今度こそ部屋を後にしようとする瞬間……
また止められる
「お前今 悩みがあるだろ」
という言葉とともに…
ご閲覧ありがとうございました