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日常と結婚記念日

作者: ゼロ

最近、父が台所の手伝いをするようになった。



今まではご飯を作るのも後片付けも、基本的に母と祖母に任せっきりだったのに。びっくりである。どんな心境の変化だ。母と俺を含めたきょうだいは首をひねるばかりである。(祖父母は気づいているかわからない。態度が特に変わっていないので)ただ、元から父が包丁を扱えることは知っていたし、祖母と母がいない時はご飯を作ってくれることもあったから、割とあっさりと受け入れた。



だがしかし。もちろん、その変化は喜ばしいことだと思う。一月くらい前からだろうか。父が晩ご飯の片付けをし始め、朝ごはん用の味噌汁を作り始め(我が家の味噌汁は前日に作る。朝は慌ただしいからだ)、先日は手作りピザやチーズリゾットを作っていた。美味しかった。最近の流れが母が作り、父が(食後)片付けるというものに変わりつつある。




閑話休題。




今、台所に二人、並んで立っている。今日は二人の結婚記念日25周年のお祝いらしい。晩ご飯が焼肉とパスタと海草サラダとケーキという、変わった組み合わせを作っている。わからないことは母にすぐ聞いていて、特に目立つ失敗もない。まだ見慣れない光景に思わず写真を撮りたくなったが、自重しておく。多分、近いうちに見慣れた光景になるだろうから、写真を撮るような事ではないと言い聞かせて。それを願って、ひっそりと文字を打っている。もっとも話してないから、言霊が効くかはわからないけれど。



最後に明言しておくが、今までの父が悪いというわけでは決してない。夫婦仲も家族仲も悪くはないし、父には父の、家族内での役割分担がある。


俺のきょうだいは、社会人と高校生と小学生だ。きっと、家族全員が揃うのはだんだん少なくなっていくだろう。きょうだいの大学の希望先は県外だ。結婚して家を出るかもしれないし。


ただ、今の2人の光景が、いつまでも続けばいいなと思う。

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