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モザイク5〜MOSAIC PART 5  作者: AKI
失踪編
8/61

出来の良い息子

ガチャ


私『ただいまー。苗、宿題してないでしょ。お兄ちゃんに手伝って貰いなさい。』


苗『一人で出来るよ。』


私『一人じゃしないでしょ・・・葉ーっ。』


ん?葉が応えてくれない。今日はサムがいないのに。


葉『ぐう・・・ぐう・・・。』


私『葉、寝たふりしてる?』


葉『ぐう・・・ぐう・・・あはははは(笑)・・・な、何すんだよ。』


私『苗の宿題を手伝ってあげて。答えを教えたらダメよ。』


葉『・・・苗、どれ。』


おっ、素直に手伝ってくれるんだ。さすが、お兄ちゃん。


お兄ちゃんが妹に勉強を教えてる。これこそ、私が求めていた光景・・・うーん、感無量・・・私が育てた子供たちなんだ・・・うう・・・。


葉『終わった・・・。』


ペラ


苗『まだまだある、時間泥棒。』


葉『マジかよ!?俺のとき、こんなにあったかな・・・。』


私『葉、昼食食べてないでしょ。鶏肉、冷蔵庫の中にあったよ。期限が近いから食べて欲しかったのに。』


葉『・・・。』


私『お父さんが帰ってくる日がギリギリ期限日だから、黙ってお父さんに押し付ければいいんだけどね(笑)』


ちゅるちゅるちゅる


カリカリカリ


私『苗、今は宿題やめて、食べて。』


苗『宿題しろって言ったの、ママじゃん。』


があ!!口答えプリンセスめ!!


私『葉、美味しい?』


葉『最近、体調とか・・・問題ない・・・?』


私『体調・・・なに、心配してくれてるの?(笑)ちょっと肩が痛いかな。』


葉『それだけ・・・?』


私『寝つきは悪いよ。あんたたちが迷惑ばかりかけてるから(笑)』


葉『・・・俺たちの何が一番、体に負担かけてる?』


私『洗濯物よ。毎日の料理は単純に作る量を増やせばいいだけだけど、洗濯物は二人が大きくなるにつれて・・・ねえ。』


苗『ねえ?』


葉『洗濯物、溜まってるもんね。俺、洗濯物係になろうか?』


私『え、いいの?』


葉『多分、母さんよりも力だけはあるから。』


葉は食器を自分で片付けて、自室へと向かった。あれは本当にサムの遺伝子から産まれた私の息子?


苗『お兄ちゃん、どこかで頭を打ったのかな。』


私『さあ・・・。』


私はまた人見との思い出を探った。いや・・・そんなことはないはず・・・サムに内緒で相談することもあったけれど、過ちは扉を開けてもらったあの日だけだったはず・・・妊娠発覚もまだまだ先の日だったし・・・その間にサムと二人で失敗しても、諦めずに頑張って、やっと身籠った子だし・・・。


ピピピピ


私『・・・あ!?』


ガチャ!!


麻里『どうだった?って、あれ・・・。』


佐村『おわっ!?』


私『やった!!やったよ!!』


佐村『・・・。』


麻里『喜びなよ(笑)』


サムは涙を堪えるようにしばらく上を見上げた。私はサムの鼻を人差し指でツンとした。


佐村『良かった・・・元気な内に子供を身籠れて・・・。』


私『ちょっと怖いけどね・・・私の体が出産に耐えられるかどうか。もしものことが有ってもサムは自分を責めないでね。私のわがままだから。』


麻里『ん・・・どういう意味?佐村は子供欲しくなかったの?』


私『そうみたい。』


佐村『いや、あの・・・心配でさ・・・色葉の体はもちろん、俺自身も・・・。』


麻里『責任は?』


佐村『それはもちろん・・・。』


私『不安なのは、お互いさまだよ。私だって・・・おえっ・・・ほら、早速来た・・・。』


麻里『大丈夫・・・佐村!!何してんの!!』


佐村『え・・・どうすんの?』


麻里『さすってあげて!!まったく、トロいんだから!!』


その後、私は人見に無事に子供を授かれたことを報告した。私にはお父さんもお母さんももういないから。


人見『マジか、良かったな(笑)』


私『うん・・・。』


人見『・・・不安か。』


私『サムが頼りなさそうで・・・本人や麻里の前では強がったけど・・・。』


人見『じゃあ、俺がその不安が吹っ飛ぶような、とっておきの約束してやるよ。』


私『・・・。』


人見『出産に立ち会ってやる。』


私『本当に?』


人見『俺が真面目な馬鹿だって知ってるだろ(笑)佐村のことだから、遅れる可能性もある。』


私『ありがとう・・・でも、先のことだから、用事が重なっちゃったりしたら・・・。』


人見『どんな用事があっても行く。・・・また、別の話なんだけど、一ついいか?』


私『・・・うん。』


人見『そろそろ、俺に寄りかからなくても一人で立てるだろ?いや、既にしっかりと自分の脚で立ってる。』


私『これからはサムに寄りかかれってこと?』


人見『違う、違う(笑)しっかりと自分の脚で立って子供にとって、いい母親になれよって。正直、佐村にとって、いい妻になっても疲れるだけだろうからさ。』


私『でも、それだとサムと溝が生まれるんじゃ・・・。』


人見『大丈夫。俺たちって、すげえ単純だから、週に一回でも、美味いものを作ってくれるだけで、こいつを離したくないと思えるから。』


私『そんな楽天的な考え方で大丈夫・・・?』


人見『専業主婦志望なんだろ?構えすぎたら自爆してしまう。』


私『私は全部、熟せる自身があるよ。学生の頃から母さんの代わりしてたから。』


人見『全部は熟せないんだって(笑)家事って色々あるだろうけど、基本は炊事洗濯掃除だろ?』


私『基本はね。』


人見『白瀬は運よく既に炊事がプロ並みだから、炊事だけを熟せばいい。だから、洗濯掃除はサボっちゃえ(笑)』


私『サボっちゃえって・・・でも、ちょっとは楽になったかな。』


人見『最後にもう一つだけ。これから本当の夫婦になるんだ。つまりは本当に恋人でなくなるってこと。夫婦は子供が出来ると変わるんだ。』


私『うん・・・。』


人見『その変化は二人が親になるための下準備だと思って、受け止めた方が後々に繋がると思う。あいつに不満があるときは麻里にでも愚痴って発散したりすればいい。子供が産まれて少しの間は些細な変化に胸を痛めることもあると思うけど我慢な・・・やべっ、俺、関白思考かな(笑)』


私『お互いがってことでしょ。芸能人みたいに簡単には離れないよ・・・って、サムは一応芸能人か。』


人見『価値観が普通の男と違うところもある。キャバクラ通いとか。』


私『知ってるよ。でも、抑えようがない・・・。』


人見『佐村の変化を理由に小遣いを減らせばいいだろ(笑)』


私『おっ・・・いいアイデア。』


人見『それもやり過ぎると、十分、離婚原因として通用するらしいから程々にな。専業主婦、頑張れよ。』


私『頑張る。』

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