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モザイク5〜MOSAIC PART 5  作者: AKI
究明編
56/61

葉と私

私が葉に謝らなければならない事。過去はモザイク掛かっているけど、そのモザイクを作ったのは私自身だから。謝らなければならない。


あれはサムと喧嘩してしまって、人見の家に逃げ込んだ日。喧嘩の理由は子供が出来ないから、二人とも苛々してたから些細な事で爆発したんだと思う。


私は人見の家に逃げ込んだ。サムはそれをわかっていた。むしろ、私を手放したかったのかも知れない。


なんだかんだでよりを戻した私達。人見の家からの帰り道は気まずかった。一言も交わすことなく、お互いが横にならないように歩いてた。


新婚夫婦とは思えない二人は寝室で小声で話し合った。


佐村『どうだった。』


私『どうだったってどういうこと。』


佐村『俺と比べて人見。』


私『・・・。』


佐村『人見はああ言ったけど、選ぶのは色葉だろ。』


私『違うよ。私だけじゃなくて、二人が選ぶんだよ。今後のこと。』


佐村『もしも、近々子供が出来たらどう思う。』


私『私の子供だと思う。』


佐村『そんな感じか。』


私『だから一人になっても構わない。』


佐村『二人で選ぶって言ったろ。』


私『言ったのは私。じゃあ、サムは一人になりたくないってこと?』


佐村『親御さんにも挨拶してるし、友達集めて結婚祝いも開いたんだ。そう簡単に別れられない。』


私『仕方なくってことみたい。』


それから会話は続かなかったけど、翌日には普通の新婚夫婦に戻って愛を育んで葉を身籠った。問題は父親。


戸籍上も実質的にもサムが父親なのは間違いないのだけれど、科学の力で証明されたくはない。


私『こんな親でごめんね。お父さんもそれが分かっていた上で、私たちは葉を出産して育てたの。』


葉『俺はそれをどうとも思わないけど、まるで死ぬ前の最後の遺言みたいじゃないか。』


私『そうだよ。私、一年以内に死ぬかもしれない。』


葉『不吉なこと言うなって。』


私『葉は家族だから良いことも悪いことも共有しなくちゃならないの。』


先日のこと。葉に退院することは伝えてたけど、日にちは伝えてなかった。それだけが原因ではなく、葉は常に疎外感を感じていたのかもしれない。


事件との関連性はないのだろうか。千香ちゃんについての対応が不自然な気がしたんだ。


私『人見は女の子に優しかったけど浮気癖があって、何人も乗り換えてたみたいなの。まさか、千香ちゃんと別れた後に事件が起きたわけじゃないよね。』


葉『過保護かよ。そんなの俺の勝手だろ。』


はっきりと私の問いかけに答えないまま、葉は部屋を出て行ってしまった。


母の勘は死期が近いと冴える・・・らしいから踏み込んだけど、思い過ごしだったのかな。


私は何かを残そうと焦っている。モザイクがかったものじゃなく、はっきりと形の残る何かを。


携帯の着信音。サムから。


食欲あるかと。ないよ。ごめん。ありがと。早く帰ってきてね。安全運転で。うん。あ、甘い飲み物が欲しいかな。

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