下心と傷心
千香が葉の元に戻り、平和が戻ってきた・・・が、そうは言えない状況に葉は疲弊していた。毎日のように千香の接待。とにかく癒しが欲しい。
葉『ってこと。』
葵『大変だね。で、こういうこと?』
葉『そういうこと。』
軽蔑の眼差しがチクリ。
葵『一人親がいない曜日を探ってたのは、夜這いするためだったの。』
葉『ち、違うと、何度説明すれば理解してくれるんだよ!?インターホンを押しても返事がないから、扉に手を掛けたらたまたま開いて、もしものことが頭をよぎったから、家に上がったんだよ!!』
葵『あ、わかった。お風呂上がりを襲うつもりだったんだ。』
葉『何にもわかってねえよ!!女友達として千香の愚痴を聞いて欲しかったから訪ねただけだって!!』
葵『LINEでよくない?』
葉『ぐぅ・・・。』
痛いところを突かれた。
葵『つい最近別れたからアレだけど、部屋に彼氏いたらどうする気だったの。』
葉『何もやましいことは無い。』
葵『私がヤバいでしょ。ウワサの鈍感。まあ、いいよ。野菜ジュースの半分飲む?』
とくとくとく
葉『ありがと。』
頬を両手で包みながら葉を見ている葵。その表情を見てコップを口元で止める葉。
葵『毒なんて入ってないよ。』
そんなことは分かっている。そんな気は無くとも風呂上がりの女に弱いことを忘れてた。
葉『そ、そのポーズ止めてくれないか。』
葵『ポーズ?』
葵はピンと来ていないが、壁にもたれながら、濡れた髪をいじり始めた。
その仕草はドストライク。葉は眼を瞑り、野菜ジュースを飲みながら千香のことについて葵に話した。
葵『ふーん。別れたら。』
葉『そんな簡単に言うなよ。』
葵『じゃあ、頑張れば。』
葉『俺が?どれだけ我慢していると思ってるんだよ。』
葵『まだ夫婦じゃないんだし、逃げるなら今のうちだよ。』
葉『逃げるなら逃げるで、もっともらしい理由か、千香を看てくれる男を見つけるまで逃げることなんて出来ない。』
葵『へー・・・変わってるね。逃げる準備が出来ていないだけで、逃げたい気持ちはあるんだ。』
葉『否定はしないけど、逃げたいわけじゃ無い。少し距離を置きたいというか・・・。』
葵『いきなりだけど、こんなのどう?髪パサーッての。』
葉『・・・。』
葵『お尻ベターッで、ない胸を寄せたりして(笑)』
葵の様子がおかしい。つーか、おかしかった・・・チューハイ?
葉『チューハイ効果か。』
葵『正解だけど不正解。私、酔わないから素面だよ。』
葉『急に冷静になんなよ!!』
葵『あの事件が起こる前の千香の真似してみただけ。千香に疲れてるって言うから真似してみただけ。』
葉『あの頃の千香とか言うなら、ヤらせろっていう・・・。』
葵『いいよ。っていうか、探索中の時期くらいから葉のこと好き。』
葉『!?』
好き!?ウソだろ!?葵が!?三角!?いや、二股!?好き勝手にしていいのか!?二人を俺のものにしていいのか!?
葵『いつでもいいよ。』
ぐはっ!?
何か重たいものが腹に落ちてきたような・・・。
千香『ばあ!!』
葉『な、なぬ。』
千香『みーちゃった、みーちゃった。私、どーしよー。』
葉『低い声こわ。ま、まだ何もしていない!!ちゃう、何もする気はない!!』
葵『えーっ。』
葉『感情行方不明!?待ってろ!!あーまたちゃう!!』
千香『わーたし、きずふやそー。』
サクッ・・・サクッ・・・ZZZ...
もうお分かりだと思うが、ここは夢の中。葉の下心と千香の傷心が交わった夢の中。現実に戻るときは千香の声が必要。
千香『アサアサ起きてーYO!!今日もアサからダンスだYO!!アサアサ!!』
ピッ
葉『はあ。っるーせぇ・・・また、勝手にアラーム替えられてる・・・。』




