ねんねんころり
二日目の朝、千香は昨日の朝のことをすっかり忘れていた。
千香『うーん・・・朝・・・ん・・・あれ・・・げっ・・・!?』
バッ!!タタタッ!!ガチャ!!
千香『そういえば、そうだった!!フツーにキテル!?』
朝からの物音で葉も目覚め、千香の大声で扉の前に。
葉『どうした・・・昨日の朝も煩かったな・・・。』
千香『あ、なんでも・・・ななな、なんでもないよ!!おはよう!!』
葉『吐き気すんの?』
千香『そ、そう。おえっ・・・私の鞄を取ってきて。』
1、2、3、ガチャ
葉『ほら。』
千香『ぎゃあああ!!なんで、開けてんの!!』
葉『別にいいじゃん。お互いのこと知ってんだから。』
千香『親しき者の中にも礼儀ありっちゅう言葉を知らんのかね!!』
葉『知らねーよ。』
千香『ったく、これだから有名人の倅様は・・・すぐに出るから精算しててよ。』
葉『なんか今日の千香、変だぞ。』
千香『そ、そんなことない・・・はず・・・ははは(笑)精算、精算。』
葉は朝っぱらから妙にテンションの高い千香を不審に思いながらも精算のためにトイレから出た。それと同時に千香は鞄を漁った。
ガサゴソ
千香『あった・・・念のためのヤツ。』
装着
千香『バレたらどうしよ・・・あー、まだわかんない私の体・・・。』
ジャー
トイレから出ると、葉が精算機の前に立っていた。
どうせ支度があるんだろっていう感じの態度で。急な家出だったから、綺麗になる道具を中途半端な種類しか持ってきていないから、中途半端にしか綺麗になれない。
千香『すぐに出よう。』
葉『化粧でもしてくれないと補導される。』
千香『大丈夫だよ。ここまで歩いて来たんだから。』
葉『俺たちは親を捨てたんだ。連れ戻されるなんてかっこ悪すぎろだろ。』
千香『そういえば、お母さんが倒れたって・・・。』
葉『タイミングから考えて、嘘に決まってる。もういいや、マスク持ってたろ?』
千香『持ってるけど・・・。』
葉『出て、バイト探そう。』
千香『学校は辞めないって言ってたよね。』
葉『あんなの方便。』
千香『えっ・・・。』
佐村・・・ん・・・?
杉原も・・・か。
高水。
葵『はい。』
佐村と杉原はどうしたんだ。
葵『知りませんよ。もしかしたら、愛の逃避行とか(笑)』
ピロン
何してんの?
千香『葵。』
葉『葵か・・・。』
息抜きだよーん☆( ^ω^ )\/
佐村くんも一緒?
聞いちゃダメ(・Д・)ノビシッ)
秘密のデートでの無断欠席Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
(・Д・)ノビシッ!!ビシッ!!
千香『ふふふ(笑)』
葉『葵って、口軽いのか?』
千香『どうだろ。噂話を持ってくるのは、いつも葵だよ。』
葉『わかってて、やり取りしてんの?』
千香『・・・ごめん。やめる。』
千香はスマホを鞄の中にしまった。少しだけ息苦しさも感じた。でも、こうなったのは自分の早とちりが原因だからと素直に謝った。もしも、それがバレたら捨てられるかもしれない。だから、また嘘をつく。
今、お腹を蹴られた気がしたよ。
私『いつまで、歩けばいいの・・・。』
私は暖かいサムの腕から逃れて彷徨っていた。なんだか、変な感じがする。
ねんねん・・・ねんころり・・・
坊やよ・・・ねんころり・・・
私『私の声・・・。』
母さんのお膝で・・・ねんころり・・・
母さんも坊やと・・・ねんころり・・・
ねむねむころり・・・ねんころり・・・
私『懐かしい・・・サムが3分のカップ麺が出来る間に作ってくれたんだっけ。』
ねむねむころり・・・ねんころり・・・
私『眠たくなってきた・・・あ・・・我が家・・・帰ってきたんだ。』
ハワイから歩いて帰って来れるはずないのに。
扉を開けると私が葉を抱いて、うとうとしていた。あっ、危ない!?
私の中の私?は、抱いていた葉を落としそうになった。というか落とした。私は葉が頭を打ち付ける寸前でキャッチした。ナイス、運動音痴な筈の私。
私の中の私は驚いたような顔をした後、私に頭を下げた。
私?『ありがとうございます・・・この子を産んでから、全然寝てなくて・・・夫も子供が産まれたからって、仕事に精を出し過ぎて帰ってこない日もあるし・・・。』
私『そんなこともあったね。今もだけど。』
私?『瞳さんも大変なんですね。』




