万札タクシー
ピーポーピーポー
千香『救急車・・・。』
葉『珍しい。これから、どうしようか。』
千香『お金は持ってる?』
葉『免許を取るために貯めてたのが財布に入ってる。』
千香『私の家も葉の家も無理だよね。』
葉『さっきまでイカレてたよな。』
千香『・・・葉に怒って欲しくないからやめた。成るように成るよ。もう私は覚悟を決めた。』
葉『俺ももういいかな。なんとかなるような気がする。高校を卒業するまでくらいには、友達に支援を募ればいい。』
ピーポーピーポー・・・
千香『近くで止まったみたい。』
葉『俺たちには関係ないだろ。』
葉にはもう関係ないのかもしれないけれど。
苗『ママ・・・。』
佐村『急に倒れたんだよ!!』
穂『色葉さんが!?私よりも麻里さんとか公子さんの方が・・・。』
佐村『救急車は呼んでる!!公子は遠いし、麻里は妊娠中だし、中谷と堀はライブの打ち上げでベロベロだろうし・・・色葉が回復するまで苗の面倒を見て欲しいんだよ。』
穂『葉は?』
佐村『葉は・・・あいつは出て行った。』
穂『出て行った?マジで?家出?』
佐村『とにかくいつもの病院に来てくれ。』
私は気を失った。何かの許容範囲を超えてしまったのだろう。苦しみを味わうことなく眠りについてしまった。
白瀬!!
私『は、はい!?』
人見『ははは(笑)』
飯塚『学校に着いたぞ。早くバスから降りろ。』
バスの窓から外を覗くと、いつもの校庭と校舎が見える。
公子『お疲れだね。昨日の夜は物音が聞こえてたけど、何してたの?(笑)』
公子が笑いながらバスから出て行く。気がつくと人見と二人きりになっていた。
人見『昨日はごめんな。朝っぱらまで説教だったもんな。』
バスの扉が閉まる。
私『あ、まだ降りてないのに・・・。』
人見『考えたんだけどさ。どこか遠い所に逃げたらお袋さんのことなんか関係なくなるんじゃないか?』
人見は煙草を吸い始めた。私もそれを貰った
バスが走り始める。どうせ夢だから騒いでも仕方がない。
ピッ、ピッ、ピッ・・・
ガチャ・・・
穂『色葉さんは・・・?』
佐村『来たか。見ての通りだ。後遺症みたいなもので、普通の人よりも疲労しやすい体だったんだけど、それをずっと耐えていたみたいで、葉との喧嘩で爆発したみたいだ。』
穂『後遺症って・・・草?もう回復したって・・・。』
佐村『だから、耐えてたんだよ。医者にも昔、常習的に吸っていたことを話した。精神的に参ってた時期のことや、その経緯も知る限りは伝えた。』
バスの外が突然暗くなり、繁華街の真ん中で停車した。
私『あ、止まった。人見・・・居ない?』
バスから降りてみると寒い・・・知らない人に声もかけられた。
幾ら?
私『はい・・・?』
ふと自分の服装に目をやると、派手な色のタイトなスカートだった。その尻を撫でられる。
私『やめてください。』
私は走った。でも高いヒールだったから三つ目の曲がり角で転けて、人とぶつかってしまった。
私『あいたた・・・。』
新庄『大丈夫ですか?』
私『・・・お、追われているから助けて!!』
ピッ、ピッ、ピッ・・・
穂『じゃあ、ヒトミンに言われたから、一緒になったの?』
佐村『麻里と進展する気がないなら面倒を見て欲しいと言われたんだ。バンドの進退を利用して呼び出して、酒を飲ませて、褒めちぎって、部屋に連れ込んで添い寝だけした。』
穂『本当に添い寝だけ?』
佐村『草中毒の売春婦を抱く気なんてなかったから。』
頭がクラクラする・・・何でだろ・・・。
新庄『タクシーで逃げるしかない。おーい!!』
タクシーは止まってくれない。私は財布から出した万札を振ってみた。止まってくれた。私は行き先を告げる。自宅だ。
新庄『遠いな・・・月末で金欠だから払えるか・・・。』
私『・・・お金なら多分、大丈夫なはず。』
新庄『さっきも万札振ってたけど、仕事してんの?』
私『・・・おーえるしてる。』
こんな破廉恥な格好で夜遊びするOLがいるもんか。朝も早いんだし。
ガチャ・・・
千香『うわ、すごいね。』
ポチッ
ピカピカ
葉『ふふ(笑)』
千香『ベッド、ふっかふか(笑)』
葉『明日どうする。学校行く?』
千香『え、学校は辞めないって言ってたよね。』
葉『あんなの方便。一泊でこんなに金がかかるなら、明日からバイトしないと。』
千香『方便か・・・友達の家を渡り歩けば宿泊代ゼロだよ。』
ピロン
今、どこにいる。
千香『来た。』
葉『これって返信したら位置特定されたっけ?』
千香『わかんない。無視しよ。』
葉『そうだな・・・また来た。』
お前が出て行ってすぐに母さんが倒れた。
葉『マジで・・・。』




