麻里は元気です
妊娠4ヶ月になる麻里の様子を伺いにサムと苗と私で新婚さんの愛の巣を訪問。私にとっては恩返しの面もある。
私『お邪魔します。』
和成『どうも。結婚式以来ですね。』
麻里の旦那さんだ。30代の筈なのに20代に見える。でも、誰かさんと比べてしっかりしてるし、髪型は短髪で爽やかだし。二の腕と胸には小さいタトゥーなんて入ってないんだろうなー。麻里に黙ってキャバクラなんて行かないんだろうなー。煙草なんて吸いそうにないもんなー。
佐村『早く上がれよ。俺は寝不足なんだよ。』
苗『スマホ充電していい?もう30切った。』
ピキピキ・・・すぅー・・・はぁー・・・ぷる・・・ぷるぷる・・・かぁーっ!!
私『ま、麻里は元気にしてますか?』
和成『元気ですよ(笑)まだ仕事してますし。』
私『えっ。』
私のときはムカムカとゲロゲロで家事もままならなかったから少しだけ驚いた。
和成『高齢出産だし、初めての出産だから、僕としては安静にして欲しいんですけど・・・。』
佐村『デザイナーって絵を描くのが仕事だろ?寝たまま出来るから負担ないんじゃないか。』
私『頭を使ってるのよ。作曲も風邪のとき出来ないでしょ?』
佐村『俺は出来るぞ。』
私『・・・そうですか。』
遅筆のくせに。
麻里は旦那さんの話通り、定規と鉛筆を持って大きな紙にデザインを描いていた。
私『仕事して大丈夫?吐き気ない?』
麻里『全然ないから平気だよ。佐村と最近どう?』
私『まあ・・・いい方だと思うよ。ね?』
佐村『苗がプレゼントあるってよ。』
苗『洋服のデザイン描いてきた。』
麻里『本当に!?わわ、上手じゃん!!』
答えをはぐらかされた。許すって言ったくせに。っていうか、許すってなに?そもそも悪いことなんてしてないし。ヤバイね。段々と腹が立ってきた。
和成『色葉さんはブラックですか?』
私『私はミルクで。』
旦那さんがコーヒー煎れてるよ。良いなあ。ウチのサムは・・・あーダメダメ。比べてもしょうがない。寂しくなるだけ。お金さえあれば離れても痛くも痒くもないのに・・・だからダメだって。でも比べてしまう・・・。
麻里『夜の方はまだ元気?』
佐村『俺?ライブの為に週2で鍛えてるから全然イケるって。な?』
私『・・・。』
苗『ふふふ。』
な?って、どう反応すればいいの!!人様のお宅でったく・・・苗も不敵な笑みを浮かべてるし・・・。
和成『もう一人とか考えてないんですか?』
私『もう一人?』
苗『私は妹が欲しい。』
麻里『妹だって(笑)』
佐村『欲しいのか・・・。』
チラッ
私『こっちを見ないでよ。もう良いよ。女の子は手がかかるから出来るなら弟ね。』
麻里『あれ、三人目行っちゃう?』
私『もし、出来たときは弟の方が良いなって言っただけだって。麻里はお腹の中の子、どっちが良い?』
麻里『一人目だからどっちでも大歓迎だよ。和成は?』
和成『俺もどっちの性別でも誠意を持って育てるよ。未来は双方の特性を加味されなくなってるかもしれないから。』
佐村『双方の特性って何だ?』
和成『男だから仕事。女だから家事って無くなってると思うんです。だからどちらでも育て方を同じにしないといけないかなと。』
そっか・・・そういう時代になるんだ。そういう時代に私たちが生きていたら、料理上手だけど人見知りな私も、ギターが上手いけれど鈍感で天然なサムも、容姿端麗だけど気が強い麻里も、容姿は怖いけど中身はかっこいい人見も、つまり、裏表がない公子のような人間以外振り落とされていたかも・・・辛い時代になりそう・・・。
麻里『葉くんは元気?』
私『葉ね・・・どんどん私から離れて行っちゃうから寂しい。』
佐村『葉の事を聞いてんだろ。あいつ自身は寂しくない毎日を送ってるみたいだぞ。』
麻里『ああ、綾乃ちゃんね。』
苗『違うよ。』
麻里『えっ、もう乗り換えたの?』
私『掘り下げないでいいから。』
麻里が元気そうで良かった。でも、それだけだった。帰りは苗を介してじゃないとサムと喋らなかった。
私『ただいま。葉・・・あれ?千香ちゃんが来てるのーっ?』
馬鹿じゃねえの!?いい加減にしろよ!!
皆が帰って来る前までにどっちか決めてよ!!
佐村『喧嘩か(笑)』
私『止めてきてよ。』
佐村『心配なら、お前が行って来いよ。』
落ち着けって!!
もう待てない!!死んでやる!!
私『死んでやるって聞こえなかった・・・?』
佐村『聞こえたけど・・・。』
ガチャン!!




