キツい
ピンっ、ピンっ、ピンっ
千香『ごー・・・ろくー・・・ななにちめ・・・。』
ガチャ
千香『うわっ!!ま、ママ!!ちゃんと、ノックしてよ!!』
千香、最近変よ。ご飯って呼んでも来ないし。聞こえてた?
千香『・・・聞こえてた。』
でも、すぐに反対の耳から抜けてしまった。頭が葉のことでいっぱいだから。
千香『どうしよ・・・まさか・・・そんな・・・いや・・・でも・・・ウソだよ・・・バレたら、葉が離れちゃうかも・・・。』
あれは先々週の金曜日。
千香『このまま続くなら、子供も出来るのかな・・・(笑)』
葉『それは、二人のさじ加減じゃないの?どっちにしても、今出来ても絶対に無理だからな。俺たち高一だぞ。』
千香『わかってるよ。でも、そのままの方が気持ち良いんでしょ・・・?』
葉『俺には、まだリスクが多すぎる。』
多分、あの時だ・・・なんで説得してまで無理なお願いしたんだろ・・・。
千香『飲んだから大丈夫・・・。』
葉『飲んだ?ずっと一緒に居たじゃん。』
千香『とにかく大丈夫だから・・・。』
葉『嘘だったら、別れるからな。』
嘘だったら、別れるからな・・・
佐村。
葉『はい。』
杉原。
千香『別れるから・・・別れるから・・・。』
杉原?
葉『おい、千香。』
千香『ん・・・あ、はい。ちょっと・・・気分が悪いんで、トイレ行ってきます・・・。』
千香は出席確認中にトイレへ行った。出席確認後にも帰ってこない。
窪田『なあ、佐村って杉原と付き合ってるんだろ?』
葉『まあ。』
窪田『喧嘩とかしたのか?』
葉『してねえよ(笑)腹痛なんじゃねえの。』
とは言ったものの、彼女の元気がないのは気掛かりだ。でも、女子トイレの前で待つというのも・・・。
葉『なあ、中に千香居た?』
葵『居ないよ。朝、キツそうだったから、保健室じゃないかな。』
言われた通り保健室に向かうと・・・
葉『先生、千香いる?』
結城『杉原さんは頭が痛いのと吐き気が酷いからって、そこのベッドで寝てるわよ。』
葉は仕切りをずらしてベッドで眠る千香の横に座って、おでこに手を当ててみた。
葉『熱あんの?』
結城『ないけど、キツいって言うから寝かせてるの。そろそろ授業でしょ。』
葉『授業サボって看病してていい?』
千香『・・・ふふ(笑)』
結城『ダメ。杉原さんも36度台だし・・・。』
葉『あれ、お前寝たふりしてんな(笑)』
千香『・・・バレた?』
葉『なんだ仮病かよ(笑)次は日本史だったから、座ってるだけで終わるぞ。』
千香『・・・おえっ。』
葉『千香?』
千香『な、なんでもないよ・・・うん、なんでもない・・・教室行くよ。』
昼休み。いつものように二人で昼食のはずだったけれど、千香が早退した。マジでキツいらしい。
千香『ただいま・・・おえっ・・・。』
家には誰もいない。こんな時間に帰ってくるなんて思ってないからショッピングにでも出かけているのだろう。やっと娘が高校生になって帰宅も遅くなって、余裕が出来たから自分の時間を楽しんでるんだ。
千香『本当に私の身体が変化してるの・・・。』
千香は制服のままで目を瞑った。時間が問題を解決してくれたら良いのにと思いながら。
人見『出来ちゃった?』
千香『かもしれないって・・・え。』
佳奈『すぐに出来ちゃうのも考えもんやね。15歳の葉くんは逃げ出さんやったらええけど。』
人見『逃げ出さないようにガンつけといてやるよ。まあ、あいつにとっては災難と言えば災難だよな(笑)』
佳奈『千香ちゃんは、なんで無理をしたん?なんで嘘をついたん?そういうことばかりが愛じゃないんよ。』
千香『で、でも・・・いつもよりも喜んでくれてたし・・・なんだかんだで気持ち良かったし・・・。』
人見『その代償がこれからやってくる。』
千香『代償・・・。』
佳奈『隠し通すことは出来ない代償。制服も着れなくなるやろうね。』
千香『制服なんか着れなくてもいい!!葉と一緒に居られるのなら!!』
一緒に居たいから無理をしたのかもしれない。
人見『平成生まれなのに、古い考え持ってんな(笑)葉が受け入れる確証なんて何処に在る?』
佳奈『あ、葉くんって人見に似てるから意外と守ってくれるかもしれへんよ。色葉さんの時と違って親からの縛りもないみたいだし。』
人見『その話はやめろよ・・・結構後悔してんだから。上から見てると佐村に苛々してしょうが無いしよ・・・。』
千香『その話?』
佳奈『葉くんには今の内に知らせといた方がええよ。手遅れになるかも知れへんから。じゃ、バイバーイ。』
千香ーっ、ごはーんっ。




