やる気のサム
私たちはマネージャーの羽田さんと打ち合わせをしていた。
佐村『っていうことで、嫁の親父を探したいんだよ。』
羽田『うーん・・・番組としては友人か恋人、恩師を探すのがコンセプトなんですけど・・・。』
私『生き別れた父親を探すのもOKでしょ。敏腕マネージャーの羽田さんの力で何とかしてくださいよ。』
羽田『収録に間に合うかが分からないんですよ。海外に行っちゃったんでしょ?』
佐村『こいつが言うにはな。』
私『だって、お父さんがそう言ったんだもん。』
羽田『あと、もう一つの問題は・・・奥さんの失踪事件ありましたよね。あれのせいで売名と取られないかが・・・。』
私『売名って、サムは既に売れてるから関係ないよ。』
羽田『佐村はネット受けが悪いから炎上しちゃうんです。』
佐村『ネットと現実を一緒にすんなよ。炎上するのは俺だけなんだから、別にいいだろ。』
羽田『奥さんの過去を掘り下げられたりしますよ。根も葉もない噂も掻き立てられますし。』
私『過去・・・。』
佐村『色葉の過去か・・・弱ったな。』
羽田『過去に悪さをしていなくても、事実無根の中傷を受けますからね・・・。』
悪さをしてるんだよ・・・深く掘り下げられたら私たちは平気でも、子供たちがショックを受けちゃう・・・。
佐村『でも、俺は色葉の親父に会いたいんだよ。話もしたい。』
私『サム・・・羽田さんの言う通り過去を晒されたらどうするのよ。』
佐村『その時は俺が責任を持って説明する。』
私『責任を持つって、適当なことを言わないでよ!!二人が心を閉ざしてしまったらどうする気よ!!』
佐村『もう何年も前のことだろ。昔のお母さんはそうだったんだで終わる。』
私『そんなにアッサリ纏まるはずないじゃない!!』
佐村『いちいちうるせぇな!!とにかく島田に会いたいんだよ!!もしも存在しない奴だったら離婚だからな!!』
私『まだ信じてないの!?ねちねち、ねちねち、男の癖に!!その汚い長い髪も切れば良いのに!!』
佐村『俺はお前の風貌にケチつけたことないだろ!!余計なお世話だ!!禿げてないだけマシだろ!!』
羽田『わ、わかりました。それじゃ色葉さんの父親を探すということで提案してみます!!だから喧嘩しないでくださいよ!!』
私『はあ!?私の過去が暴かれたらどうすんのよ!!このダメマネージャー!!』
羽田『落ち着いてくださいって・・・僕が大袈裟に言い過ぎただけですから・・・。』
私『ぐぐぐ・・・じゃあ、さっさと案を纏めてプロデューサーさんに相談してきて!!あーいらいらする!!』
羽田『は、はい。』
佐村『羽田。最近いつした?』
羽田『一昨日・・・。』
佐村『OK。羨ましいな。日にち伝え間違えんなよ。』
羽田『はい(笑)』
羽田さんは笑顔で帰って行った。そんなことよりも、あの発言だ。
私『羨ましいって、白々しいんだけど。』
佐村『今日するか?』
私『なんでそうなるの。うっ。』
ドンっ
今、流行りの壁ドンだ・・・面倒くさいなあ・・・崩壊しそうだから、一応ドキドキしてやるか。
佐村『苗が生まれてからキスの一つもしていなかったよな。』
私が避けてたからね。葉の育ち盛りと苗の出産が重なってたから当然だ。私は基本は俯きがちに時々サムの目をちらっと見るのを繰り返した。
私『う、うん。でも、ここ会議室・・・。』
佐村『わかってる。今夜、久しぶりにどうかと思って。』
えー全然ノれないんですけど。近い、近い。加齢臭、加齢臭。
私『帰ったらね。でも、私のこと信じていないんでしょ。』
佐村『調査の結果が出るまではお互いに不問にしよう。』
都合が良いんだから。うーん・・・してないっていうか、する理由がなかったんだよね。今夜・・・久しぶりに・・・うーん・・・。
帰宅。
夕飯の支度をして、お風呂を沸かして、お皿を洗っているとサムに声をかけられた。
佐村『葉と苗のあと、今日は一緒に風呂に入ろう。』
この男、完全にやる気だ。私はどうしようかと悩み中。体調的にも問題ないし、久しぶりだからほんの少しだけ興味があるけれど、朝早いから、深夜はきっちりと眠りたい。5時間。




