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モザイク5〜MOSAIC PART 5  作者: AKI
捜索編
29/61

さよなら幼馴染み

苗はスタジオの中にいた。サムが葉のためにギターを取りに行くときに進入したのだろう。苗はアルバムを見ていた。


私『もう・・・苗。ママを困らせないでよ。』


佐村『何、見てるんだ?』


サムは苗が見ているアルバムを覗いた。私は覗かなくてもわかる。その表紙は・・・。


佐村『・・・。』


私『私・・・こんなにぎこちない顔で笑ってたんだ・・・。』


佐村『新婚旅行は散々だったな。』


私『苗の前で喋る神経がわかんない。』


苗『本当に・・・離婚しちゃうの・・・?』


苗がか細い声を出した。


私『離婚じゃなくて別居。苗はサムの方だから安心しなさい。』


サムはアルバムをめくり続けてる。


苗『離婚しないで・・・。』


私『離婚じゃないって。大体、別居もパパが言い出した離婚を食い止めるために・・・。』


佐村『本当に父親だったのか。』


私『ん?』


佐村『島田がお前の父親だったのかって。』


私『わからないよ。母さんから何も聞かされてなかったから。』


佐村『探してみたくないか。』


私『え?』


佐村『今度、番組の企画で昔の友人や初恋の人を探すっていうやつのオファーが来てんだよ。生き別れた父親も探してくれるはずだ。』


近々別居するのに、なんだ・・・この変わりようは・・・。


私『別れる時に日本を離れるって言ってたから、探すのに時間がかかるよ。』


スタッフの人に迷惑かけて扱いづらい人だと思われて呼ばれなくなっても困るだろうし。


佐村『俺が探したいんだよ。島田なんとかってお前が親父だって主張する奴?俺は、その主張を信じてないからな。』


私『それなら離婚だとか、別居だとか言い出す前に言ってよ。』


佐村『・・・。』


サムは苗の頭をポンポンと撫でて、無言のままスタジオを出て行った。サムは苗に甘いんだ。まだ10歳とはいえ涙を簡単に信じるなんて。


ごめんね。お父さんの都合で前倒しになっちゃった。明後日も家族での予定が入ったから無理かも。


葉『はあ・・・。』


気にしないでいいよ。俺たちは俺たちで楽しむからさ。そっちも元気でな。


・・・うん。明日の朝・・・電話ちょうだい。


葉『・・・え?』


千香『今度はなに。』


葉『綾乃は都合が悪くなったんだってよ。』


千香『そうなんだ。じゃあ・・・。』


葉はキスしようと迫る千香の肩を掴んで、それを防いだ。


葉『明日の朝に直接電話をくれと言われた。』


千香『まだかあ・・・。』


千香は後ろ髪を弄りながらため息をついた。


葉『結局のところ、お前はなんなの?』


千香『私は・・・今の所・・・えーっと・・・うーんと・・・。』


コンコン


私『葉、入っていい?』


私は恐る恐る扉を開けた。


葉『なんだよ。』


千香『あ、今日も多分、泊まります。』


と、泊まりますって、あーた。


私『二日連続はまずいんじゃないの?』


千香『大丈夫ですよ。もう義務教育も終えたから春休みは自由なんです。』


自由と言ったって、年頃のお嬢さんのお泊まりを許すかな・・・ご両親に確認したいんだけど・・・あ、その前に。


私『ふ、二人はお付き合いしてるの?』


葉『そういうことは構うなって。』


千香『そ、そうですよ。私たちにもプライバシーがあるんだから。』


ぐぐぐ・・・このマセたガキどもめ・・・まだ、てめえらは中坊卒業したばかりじゃねえか・・・あたいはあんたらと同じ年頃の頃は母さんに縛られていて・・・ぐぐぐ・・・。


千香『なんか揺れてる。本当に近頃は小さな地震が多いね。嫌になっちゃう。』


ピロン


葉『メールか。』


遠距離恋愛って、どどうなのかな。


葉『綾乃から・・・どどうなのかな?』


千香『見せて・・・あ・・・。』


なになに、どうしたんだろう。千香ちゃんは葉の耳元に手を当てた。


千香『綾乃、焦ってるみたい。』


葉『何に?』


千香『また鈍感!!』


私『???』


なんだか良くわかんないけど、まるで学生時代のサムと麻里みたい。初々しさが眩しい。二人なら大丈夫かな。うん。


千香『おばさん、出て行ったね。』


葉『このメールどうすればいいんだ?』


千香『だ・か・ら!!明日の朝に直接聞いてみればいいんじゃない!!』


葉『でも、それで俺と綾乃がくっついたら、千香は落ち込むんだろ。』


千香『お、落ち込まないよ。』


葉『綾乃に嫌がらせしないか。』


千香『するわけないじゃん!!そんなこと・・・するわけ・・・。』


葉『俺って恵まれてると思う。裕福な家庭に生まれたけれど、受験勉強もせずに普通の中学校を卒業して、普通の高校に行く。普通の顔の俺が好きだって言ってくれる千香も側にいるし、綾乃は高望みな気がしてきてさ。』


ピロン


ごめん・・・やっぱり、今すぐ電話ちょうだい。


ごめん・・・やっぱり、今すぐ電話ちょうだい。


葉『・・・。』


千香『二重送信・・・絶対に焦ってる。』


俺、千香と付き合うことになった。


綾乃『え・・・やっぱり・・・。』


綾乃は今まで葉から返信、送信されたメールを全てゴミ箱に入れて、ベッドに倒れこんだ。


綾乃『千香が妙に葉の話をしてたのは、そういうことだったんだ・・・ちょっとヤキモチを妬いて冷たくしなければ良かった・・・。』


卒業記念旅行の日、綾乃に連絡は着かなかったけれど、新幹線の中で信じられないメールが送られてきた。


葉『あ、綾乃が自殺!?』


千香『え!?えっ!?』


晴樹『それって、俺たちが知っている綾乃で間違いないのか!?』


葉『だって、書いてるんだよ!!県も街も年齢も名前も同じ人が自殺したって書いてんだよ!!』


千香『・・・エイプリルフールだ。』


晴樹『あ、そういえば今日はエイプリルフールじゃん(笑)』


葉『ああ、綾乃に連絡が着かなかったから日にちを送らせたんだった。電話してみよう。』


葉は綾乃に電話をかけた。すると、元気な綾乃の声が聞こえた。


綾乃『葉、びっくりしたかな(笑)』


葉『びっくりするに決まってんだろ(笑)結局、みんな色々と都合が入って晴樹と千香と俺で遊んでる。』


綾乃『そうなんだ。』


葉『う、うん。』


綾乃『・・・。』


葉『そっちで上手くやっていけそうか?』


綾乃『大丈夫だよ。』


葉『そうか・・・それなら良かった。こ、今度さ、母さんが生き別れた父親を探すために父さんとテレビに出るらしいんだよ。俺の爺ちゃんな。』


綾乃『私、テレビ観ないんだよね。』


葉『俺も観ないけど・・・。』


綾乃『とりあえず元気でね。私も元気で頑張るから(笑)』


綾乃は千香のような元気な女の子を演じた。でも、自分には出来ないことを思い知った。自分らしく生きるために、しばらく葉を忘れよう。・・・綾乃は葉と千香を連絡先から消した。

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