表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モザイク5〜MOSAIC PART 5  作者: AKI
捜索編
26/61

幼なじみ

うう・・・葉が中学校を卒業するんだ・・・心身が健康になって本当に良かった・・・。


新婚当時のシミュレーションでは、あのまま物忘れが酷くなって、15年も経てば痴呆を患うと覚悟していたから、葉の卒業を認識できる現在の私自身と立派に成長している葉の姿に涙が止まらない。


この感動よりもイカを取ったサムの為にビデオを撮っているとなんとも言えない違和感が・・・まあ、いいや。感動が身体中を駆け巡ってるんだ。そんなことどうだっていい。


卒業式が終わると、葉の側には行かずにすぐに帰宅する。葉からの言伝だ。終わったらさっさと帰れだって。


葉『・・・綾乃。』


綾乃『あ、葉。今日で最後になっちゃうね。』


葉『そのことなんだけど・・・屋上について来てくれないか。』


綾乃は小さく頷いた。用件はわかっている・・・つもりだった。


葉『元気でな。』


綾乃『うん・・・えーっと・・・それだけ?』


葉『そ、それだけで悪いかよ!!』


綾乃『幼稚園の頃から幼なじみだったのに、それだけなんだ・・・。』


綾乃は目を潤ませた。


葉『何も泣くことは・・・今はスマホだってあるから、いつでも笑いあえる(笑)な?』


綾乃はチャラい男が好みなんだ。鈍感で融通の利かない男なんて嫌いなんだ。それなら、思いなんて伝えなくてもいい。片思いのまま、それぞれの道を歩いて、いつか、お互いの子供を見せ合って笑いあえるならそれでいい。


綾乃『ありがとう・・・そういうところ・・・いや、なんでもない(笑)千香とゴールイン出来たらいいね。バイバイ。』


綾乃は精一杯の笑顔で葉にさよならを告げ、階段を降りてった。


千香『ゴールイン・・・そこまでは考えてないんだけどなあ・・・あ!?』


葉『なんだよ。』


千香『綾乃も葉のこと本気で好きだったんじゃない?』


葉『えっ?』


千香『中学生でゴールインなんて考えないよ。もしかしたら・・・。』


葉『・・・ん?』


千香『この鈍感め!!綾乃もこの日の為に思いを積み重ねて来てたんだよ!!』


葉『で、でも、チャラい男が好みだとか・・・。』


千香『あれは私の嘘。』


葉『嘘!?じゃあ、あのとき、本気で怒ってたのも・・・。』


葉は屋上から校庭を見た。既に綾乃は自転車に跨って校門から出ようとしていた。


葉『綾乃ーっ!!綾乃ーっ!!』


綾乃は振り向かない。もう、さよならを告げたのだ。悔いはない。


葉『ああ・・・。』


千香『珍しいよ。今時、モテモテなんて。葉は顔は普通だけど、憎めない性格だから、母性本能をくすぐるんだろうね。』


葉『綾乃はわざわざ関西に進学するんだっけ・・・。』


千香『卒業記念に関西旅行行こうよ。二人きりじゃなくて、晴樹も大吾も梨沙も秋矢も季央も奈々も手当たり次第に誘ってさ。』


葉『一斉に送るか。』


千香『そうそう。あくまで私も友達として参加するからさ。綾乃に思いをちゃんと伝えよう。今日みたいにはぐらかしたり、開き直ったり、鈍感発動させたらダメだからね。』


葉『綾乃にはもう迷惑をかけたくない。』


千香『迷惑?何言ってるの?』


葉『俺が鈍感なせいで綾乃を振り回すのは、なんというか・・・性にあわない。』


千香『うーん。葉って融通が利かないタイプだよね。芯が通ってるのは良いことだと思うけど、ときには都合良く、その芯を曲げてもいいんじゃないかな。』


良『でも俺は千香とキスもしたし、胸も・・・。』


千香『もちろん癪だけど、最後のチャンスをあげる。』


千香はハッキリさせようとして、ハッキリしない葉に気づいていた。


卒業記念に関西まで旅行いかね


日帰り?


都合による。とりあえず、クラスの奴らに拡散して


葉がこんなこと提案すんの珍しくね?


珍しくて悪かったな


葉の提案はクラス中に拡散された。約半数がOK・・・でも。


葉『綾乃から連絡なし。既読は付いてんだけど・・・。』


千香『直接送れば?』


ガチャ


佐村『ただいま。』


卒業式の翌日サムがのこのこ帰ってきた。


葉『父さんか・・・今から夫婦喧嘩だ。』


千香『ん・・・でも、様子がおかしいよ。』


二人は聞き耳を立てた。


私『痛・・・。』


佐村『苗を監禁したんだろ。』


私『・・・。』


佐村『苗に何を見せた。』


私『何も見せてない。』


佐村『前科があるだろ。』


私『あんな辛い時代に戻りたいなんて思うはずないじゃない!!』


佐村『苗が言ってるんだよ。男の人と二人きりで部屋に入ってたって。その間、苗は一人きりで怖かったって。』


私『男の人・・・。』


佐村『心当たりがあるんだろ。』


私『い、いや・・・。』


佐村『俺の役目は終わったんじゃないか?健康を取り戻したんだろ。』


私『確かに昔と比べたら信じられないくらい健康だけど・・・今回のことは・・・。』


佐村『今回のこと?やっぱりか。草も隠し持ってるんじゃないか。』


私『ちゃんと私の話を聞いてよ・・・あ、葉の卒業式を撮ってる・・・そんな、心境じゃないよね・・・。』


私は何も悪くない。でも、サムに対する反論が思いつかない。男の人は多分、お父さんのことだけど・・・それを言ったら嘘をつくなと責められるだけだろうし・・・。


佐村『葉のはちゃんと見る。でも、お前の顔は見たくない。』


サムは寝室へと消えていった。


私『苗・・・パパになんて言ったの・・・。』


苗『・・・。』


うわーっ!?


寝室から変な声が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ