父
私『高校時代は・・・今、お話した通りです。』
島田『色葉・・・。』
私『今、色葉って言った?』
島田『実は学生時代の色葉を陰から見守っていた・・・。』
私『嘘だ・・・今さらカミングアウト?ずっと海外に居たんじゃ。』
島田『色葉が中学に入って高校を卒業するまでは、月に一回は日本に帰ってきて、数日間滞在していた。』
私は唖然とした。日々、困窮してゆく私達の生活を見て見ぬ振りしていたのか。
私『・・・あれ?』
母『おかえり。アパートに引っ越すことになったから。』
高校から帰宅すると、母さんは無表情で、そう私に告げた。私はとりあえず素直に母さんの後ろを歩き、ボロアパートに着くと散々文句を言ったんだ。なんであの綺麗な家からこんな汚い所に越さなければいかないのか・・・母さんは黙っていたけど、心では泣いていたと思う。
私『なんで助けてくれなかったの。母さんも早死にすることなかったかもしれないし、美知はもっと遊べただろうし、何より私は大きく道を踏み外すことはなかった・・・。』
島田『・・・。』
私は父さんの襟を掴んで揺すっていた。
私『返してよ!!私たちの人生!!』
島田『苗に聞こえる・・・。』
私『あ・・・。』
島田『色葉の人生を返すことは出来ないから、こうして、自分への戒めを込めて・・・。』
私『娘と孫を監禁して、フリーライターを装い、娘の不幸話を聞き出してるの?』
島田『・・・そういうことになる。』
私『夫に連絡だけさせて。都会に出てきてからのことは話すから。』
牛丼セット大盛りになりまーす。
佐村『弁当ないって辛いな。小遣いがどんどん消えてゆく・・・。』
仲谷『家から出てくるときはお弁当があったからね。妹さんは今日まで?』
佐村『どうしようか・・・仲谷、来ない?』
仲谷『私が同棲してるの知ってるじゃん。無理無理。麻里は・・・新婚中か。』
プルルルル・・・
佐村『・・・!?』
仲谷『堀さんは暇そう・・・どうかした?』
佐村『色葉、どこにいるんだよ!?」
私『ごめん。親族の・・・集まりごとがあって、近々帰るから。苗も一緒。』
佐村『集まりごと・・・?だからと言って連絡もなしに急に出て行くことないだろ。』
私『ごめん。本当にごめんなさい。お昼どうしてる?』
佐村『牛丼の大・・・な、並を食ってる。』
私『大盛り食べてても責めないよ(笑)苗も居るからわかってると思うけど、浮気とかじゃないからね。』
佐村『俺に愛想を尽かした訳でもない?』
私『愛想・・・別に・・・?』
愛想ならとっくについてる。だからと言って別れようとは思わない。体調もあの頃と比べたら大分良くなってるから、葉が二十歳になる頃も普通に生きてそうだし(笑)
佐村『・・・親族って誰だ?』
私『疑ってる?』
佐村『ちょっとな。・・・ん?』
私は父さんにサムと代わるように交渉してみた。・・・嫌だって。わかるよ、今まで隠れ続けていたのに、いきなり出てくるなんて図々しいし、お互いが困ると思う。
私『あ、ごめん、ごめん。ちょっと疑われても仕方ないよね。私も苗も元気だから安心して。やましい事は何もないよ。』
やましい事・・・やましい事・・・。
葉『話と違う。』
千香『まだ言ってんの。初めてのキスをしたいって言っただけじゃん。まだ、私、最後までは怖いもん。』
葉『俺の全てが好きだって言ってただろ。』
千香『どっちにしても、しばらくはダメ。』
葉『だから、ダメってなんでダメなんだよ。綾乃も諦めてワクワクしてたんだぞ。』
千香『鈍感というより知識が無いのかな。恐怖心がないのが羨ましいよ。』
葉『俺のは触りまくってたろ。』
千香『反応が面白かったから(笑)』
葉『・・・再生ボタン押せよ。』
千香『私はこのテープ聞かなくていいもん。それに中古のラジカセのボタンなんて汚くて触りたくない。』
葉『絶対にヤバいこと言ってんだよな・・・母さん。』
千香『今回の失踪にも関係がありそう?』
葉『わからない。でも、雰囲気がパネェの。声は聞き取れるけど呂律が回ってないし。』
千香『葉は聴きたいの?聴きたくないの?』
葉『聴きたいから、お前ん家にラジカセを持ってきたんだろ。』
千香『一緒になら汚い再生ボタンを押してもいいよ。』
葉『・・・押すか。』
千香『せーのっ。』
カチ




