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モザイク5〜MOSAIC PART 5  作者: AKI
失踪編
17/61

三角関係

葉『くそっ!!』


葉はカセットテープを投げ捨てて、ベッドに顔を埋めた。


葉『くぅ〜っ・・・あの日に告白しておけば良かった・・・ん?』


スマホに着信。


葉『あ、綾乃?』


綾乃『葉、ヒドイよ。』


葉『千香だろ・・・あいつになんて言われたんだ・・・。』


綾乃『葉がヒドイんだよ。』


葉『・・・俺が?』


綾乃『千香を襲ったことあるんでしょ。』


葉『・・・は?』


綾乃『千香、抵抗出来なかったって・・・早く葉から離れないと危ないよって忠告してくれたんだ。泣きながら。』


葉『・・・・・・まてまてまてまてまて!!お前、それ信じてんの!?』


綾乃『信じたくないけど、泣いてたもん・・・同じ高校に進学するのが怖いって。』


葉『ちょっと来い!!説明してやるから!!』


綾乃『・・・。』


ブチッ!!


・・・葉は無言で千香に電話をかけた。


葉『おいコラ!!お前、綾乃になんてこと吹き込んでんだよ!!』


千香『うわっ、ヤンキー口調(笑)』


葉『笑ってんじゃねーよ!!どうしてくれんだよ、俺の中学最初にして最後の恋物語があああ!!』


千香『草食過ぎたのが敗因でしょ(笑)卒業式後、桜の樹の下でとか考えてた?ウケる〜(笑)』


葉『ウケるって、お前のせいで中途半端な状態でバンドが自然消滅だぞ。』


千香『今どきバンドなんて流行んないじゃん。コードの勉強もしてないでしょ。』


葉『母さんと苗が出て行ったせいで、気持ちが乗らないんだよ。』


千香『気持ちが乗らないね・・・失踪初日、綾乃を連れ込んだよね。』


葉『連れ込んでねえよ!!迎えに来てって言われたから行っただけだ!!やりとり見てただろ!!』


千香『やりとり見てたよ。というか、ここまでチラつかせても気づかない鈍感なんだ・・・。』


葉『また、それかよ。俺は鈍感じゃ・・・。』


千香『二年生の林間学校で同じグループになったときから・・・好きだった。』


葉『・・・なんて言った?』


千香『二年生の時!!林間教室で!!一緒になったときから好きだった!!』


葉『マジで・・・?お、お前、散々俺のことを鈍感だってイジッてたはずじゃ・・・。』


千香『少しでも近づきたくてイジッてただけ。だから、綾乃まで葉を鈍感だってイジり始めたときくらいから、ヤバいと思っちゃって・・・。』


葉『嘘をついて、俺から綾乃を遠ざけようしたのか・・・。』


葉は怒るにも怒れない。卒業を前にして、まさかの三角関係発覚。清純寄りの綾乃が好きな葉と、ドジだけどやるときはやる葉が好きな千香と、葉を幼馴染みの男友達と思っている綾乃。


千香『半分は・・・本当・・・。』


葉『半分は!?また嘘を・・・。』


千香『・・・。』


葉『嘘じゃないもんってか・・・俺ん家、来い。詳しく聞きたい。』


千香『今の葉、鈍感じゃないよ。』


数分後、千香がやってきた。妙に嬉しそうな顔をしている。


ガチャ


葉『化粧してんの・・・?』


千香『一応告白したから、葉は彼氏ってことでしょ。』


葉『だから、化粧して来たって・・・口紅、大きくはみ出してるしよ・・・鏡見てみろよ。』


千香『えっ・・・うわっ、うわっ、本当だ・・・どうしよ。』


葉『別にどうにもならないだろ(笑)口紅落としてこい。で、あの話は・・・?』


千香『あれ、嘘。びっくりしたっしょ?』


葉『・・・は?』


千香『卒業式が近いから、早く懐に飛び込まないと、高校でライバルが増えたら最悪だし。表立ってモテるタイプじゃないから大丈夫かな。よーく、観察すると、所々に優しさが滲み出てるんだよね。聞いてる?』


葉『俺は卒業式の後、綾乃に告白する。』


千香『懲りないね。もう絶望的じゃん。LINEも消されると思うよ。』


葉『簡単に嘘をつく女より、綾乃の方が魅力的なんだよ・・・あれ?』


千香『うう・・・うう・・・そんな・・・そんな言い方・・・うわーん!!』


葉『お、おい泣くなよ!?』


ピンポーン


葉『げっ・・・。』


ガチャ


綾乃『よくよく考えたら葉がそんなこと・・・。』


千香『うわーん!!』


葉『ち、違うんだよ、綾乃、よく聞けよ・・・。』


バチン!!


綾乃『変わったね・・・葉・・・。』


葉『だから、よく聞けって!!』


綾乃『千香、大丈夫・・・何された・・・?』


千香『うう・・・うう・・・。』


綾乃『落ち着いて話して。ほら、こっちで。』


綾乃は落ち着かせるために千香と寝室へ。


綾乃『入んないでよ。』


葉『はあ・・・。』


数分後・・・。


ガチャ


綾乃『・・・葉。』


葉『・・・。』


絶対にヤベェよ・・・完全に冤罪じゃねぇか・・・相当に不利だよ・・・。


綾乃『高校生活、千香と楽しんでね(笑)』


ガチャ


千香『うわーん、うわーん、きゃはははは(笑)』


葉『なに、ガッツポーズしてんだよ!!綾乃、綾乃ーっ!!』


綾乃はウインクしながら親指を上にして、家から出て行った。


葉『そんな・・・。』


千香『今日からカップルだね。初体験、初体験(笑)』

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