小学生時代
ガチャ・・・
苗『ZZZ...』
私『・・・。』
島田『おはようございます。眠れましたか?お話の続きを聞かせて貰いましょう。』
私『・・・どこまで話しましたっけ・・・私、物忘れ多いんです。だから普段はノートにその日の話しを極力纏めるようにしてます。纏める時間さえ無い日も多いですけど。』
島田『大変・・・ですね。小学生時代のお話をお願いします。』
小学校では友達が一気に増えた。特に公子とは今でも関係が続いてる。公子と初めて会話をしたのは入学式かな。私が自分の席に座っていると公子が顔を覗いてきた。
公子『お名前は?』
私『い、色葉。えーっと・・・。』
公子『私、公子(笑)緊張してる?』
私『う、うん。』
公子『じゃあ、お友達になろうよ。』
私は人見知りだったから、公子の目を見て話せてなかったかもしれない。それなのに公子はお友達になってくれた。もしも公子がいなければ私は一人ぼっちだったかもしれない。入学式の帰り道・・・。
母『女の子と話してたけど、もうお友達が出来たの?』
私『うん。公子ちゃん。』
母『良かった・・・。』
私『良かったって?』
母『いや・・・なんでもないよ。お友達は大切にしなさいよ。』
どうやら母さんは私が人見知りだから友達が出来ないと思っていたみたい。それが入学式に友達が出来のだから、ホッとしたのだろう。
公子が友達になってくれたけれど、人見知りなのは変わらないから、男子によくいじめられた。
男子『・・・ばっ!!』
私『きゃっ!?』
廊下の曲がり角から驚かされたり・・・。
私『あれ・・・あれ・・・。』
公子『どうしたの?』
私『私の上履きがない・・・。』
上履きを誰かに隠されたり・・・。
私『赤鉛筆貸して。』
女子『・・・。』
私『うう・・・。』
無視されることもあった・・・泣くのを堪えるのに一日を費やしたこともあった・・・。
私『うう・・・。』
コンコン
私『・・・。』
公子『・・・色葉。』
私『・・・公子?』
公子『出ておいでよ。』
私『こわい・・・。』
公子『ずっと怖がってるだけじゃダメだよ。』
ガチャ・・・
私『・・・どうすればいいの?』
公子『にーっと笑おう(笑)』
にーっと笑えと言われても、すぐには笑えない。苦笑いを見せると公子はそれでもいいと言ってくれた。中学年の頃だったかな。苦笑いを続けてるうちにいじめが無くなっていた。人気者にはなれないけれど、そこそこの位置にはなれる。公子以外の友達も増えた。
佐知子『ジャーン(笑)』
私『わ、サッチ、自転車を買ってもらったの!?』
公子『私も今度、買ってもらうよ。』
私『うっそ!?いいなあ・・・。』
ガチャ!!
私『ただいまーっ!!お母さーん!!』
カリカリカリ
母『今、忙しいから後で。』
私『サッチが自転車を買って貰ってたから、私も欲しい。』
母『色葉は誕生日まだまだ先でしょ。』
私『公子も先だけど、買って貰うんだよ。』
母『他所は他所、家は家。』
私『ケチ。』
母『美知が嫉妬するでしょ。男の子じゃないんだから自転車なんていらない。』
私が子供の頃は良く女の子だから、男の子じゃないんだからと母さんに言われた。今ならお金の問題だって理解できるけど。あのときは納得出来なかった。だから、早めに反抗期がやってきた。そんな私の拠り所はイトさんの駄菓子屋だった。
イト『みんなもう少しで卒業でしょ?将来の夢を書いてごらん。』
イトさんは私たちに縦長の紙を渡した。
佐知子『七夕みたい(笑)』
私『ホントだ(笑)これに願い事を書けば夢が叶うのかな。』
イト『叶うよ。大人になるまで自分が何を書いたか忘れていなければね。』
公子『自分の夢じゃなくてもいいよね。』
公子はスラスラと何かを書き始めた。
佐知子『友達とずーっと同じ学校に通って・・・。』
私『大人になっても、ずーっと一緒でいたい・・・。』
公子『二人とも忘れないでよ。忘れちゃったら夢は叶わないらしいから(笑)』
公子はどうだったのかわからないけれど、私と佐知子は高校生になるまでにとっくに忘れてた。だから、同じ学校に通い続けることも、大人になってずーっと一緒にいることも叶わなかった。今思えば、それが普通なのかもしれないけれど。
私『小学校時代は、いじめられた経験もあるけれど、最終的な感想としては楽しかった。純粋な心で生きることが出来た最後の時代でしたし。』
島田『なるほど。いじめられていたという事実をお母様は知っていたのですか?』
私『多分知りません。入学式で友達が出来たことで安心しきっていたでしょうから。』
島田『・・・。』
私『島田さん?』
島田『つ、次は中学生時代のお話を・・・。』
私『中学生時代はそんなに長くお話出来るようなものはないですよ。』
島田『どんな小さなことでも構いません。変化はあったでしょ。体はもちろん、自身の心や周囲にあった変化をお教えください。』
苗『・・・ママ。』
私『あっ、起きてた?島田さん、この子には聞かせられないような話が出てくると思いますので、この子に部屋を用意してもらいたいのですが・・・。』
苗『ママと離れたくない・・・。』
苗は私の袖をギュッと掴んだ。お風呂も入ってないから臭いだろうに・・・。
島田『休憩しましょう。昼食を用意しますから、その間に汗を流してください。』