交差点
シリアスモード全開です。
男は我に返るとまず荒い呼吸を整えた。
窓の外をみるとまだ真っ暗だ。
時計は深夜二時ちょっとを刺している。
男はさっきまでみていた夢を思い出す。
影や光の感じからしてアレはきっとお昼頃、交通量の少ない割と大きめの交差点、交差点標識は…何処だった?
(思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ……)
自分が助けなければ、止めなければ、あの夢は確実に現実になる。
今までの経験から嫌という程に知っている事実が男を追い詰め、焦らせる。
男は自分の元に足繁くやって来てくれる少女を失う事が耐えられなかった。
その後、男はまだ完治していない身体を引きずり、病院から抜け出していた。
よろめく様に足を引きずりながらも歩き続け、夢に出てきた場所を探す。
太陽が顔を出し、空の頂上へと昇っていく。
男が交差点を探し始めてから十数時間。時間が立つ程に男の中で次第に焦りが大きくなっていた。
何処だ、あの夢の交差点は。
それからまたしばらく歩き続けた所で男は妙な既視感に襲われる。
男が周りを見渡すとそこは、
__あの交差点だった。
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少女はその日の昼、急に体調を崩して早退する事にした。
鈍痛とめまいで頭がボンヤリとしている。
熱と強い日差しのせいで全てが白っぽく見える。
白昼夢の中を歩いている様なフワフワとして現実味を帯びない感覚。
交差点に差し掛かり、信号が変わるのをやはりボンヤリとしながら待つ。
信号が変わると横断歩道の向こうから一人の男が走って来た。
何処かで見覚えがある男。
ぼーっと男を眺めながらもフワフワと歩く。
何処で会った人だっけ?
男が横をすれ違う瞬間。
男が少女の背に片手を掛け、思い切り突き飛ばした。
「えっ……」
倒れるのがやけに遅い気がする。スローモーションの様な、ゆっくりとした感覚。
何が起こったのかも分からず、少女は突き飛ばされながらも体をひねって後ろを見る。
ここにいる筈の無い男が突き飛ばした姿勢のまま、肩越しにこちらに目を向けている。
目が合う。
男がちょっとだけ笑った様な気がした。
そして、少女が尻餅をつくと同時に時間は元の速さに戻り、
……少女の目の前をトラックが通り過ぎた。
展開早過ぎる気がします…
やっと消えた分を取り戻しました!!
というかここまで来たらもうすぐ終わりなんですけどね……。
次回、男の運命や如何に!?