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少女は男の傍らで

ラストです。

病院独特の匂いが漂う白い部屋。

開け放たれた窓からは明るく柔らかい春の日の光が注ぎ、白いカーテンはゆらゆらと風に揺れている。

そんな中、ベッドに横たえられた男は穏やかに眠っている。

その枕元には一人の少女が座り、男の顔を見つめていた。


……男と少女が初めて出会った日からおよそ三年がたとうとしていた。


目を覚まさない男の傍に座る少女は、右手で男の手を取り、左手でスッとその甲を撫で包み込む様に手を重ねる。

男の手は色白で細く、傍から見れば一見華奢な手だったが、少女の手と並べるてみると意外に大きく、力強い大人の男性の手であった。


男は一向に目を覚まさないがそれでもいいと少女は思っていた。

男が生きていてくれるならばなんでも良いのだ。

確かに、少女だってできる事ならば男に目覚めて欲しいし、会話がしたい、そして何よりもあの笑顔をもう一度見たい。

だがしかし、それは過ぎた願いだとも思うのだ。


あの日、血塗れになって横たわる男を見た時、止まる気配を見せず流れ続ける血を見た時。その絶望は決して言葉にできるものではなかった。

まるで足下の地面が崩れて無くなり、真っ暗な奈落が口を開けたかの様な言いもしれぬ恐怖と孤独感に何も考えることができなくなった。だからこそ、失ってしまうよりは、目覚めなくとも生きていてくれるだけでも少女には十分だったのだ。


男が一命を取り留めたと聞いた時、少女は生まれて初めての嬉し涙が溢れ出すのを感じていた。そして、余裕が出来たのか、重大な事実に気がついた。

……男の存在は少女が思っていた以上に少女にとって大きなものであったという事に。


それから少女は出来る限り長く、男と一緒に過ごすことにしていた。


仮に目覚めなくとも、大切な人である事に変わりはないのだから。



……少女はいつまでも男の傍らで微笑んでいた。

もしかすると男が目を覚ます話を書くかもしれません。


報われない話が好きな人はここで終わり。報われないとかわいそうだという人は続きをどうぞ。(未定)


出来れば単発での伏線回収をしていきたいです…。かなり伏線放置してますね。


つうか足無くなる描写要らなかった!!

╰( ´◔ ω ◔ `)╯


……とりあえず『不幸が見える男』はこれにて完結です。見てくださった方々に感謝を。

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