表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/37

王都

やっと異世界二日目です。

展開が遅すぎる…orz

次の日、目が覚めると俺はドラキュラ館の雑居部屋にいた。


う…身体だる…。


「お、大将目覚めたか?起き上がれるか?」


「うん…。」


起き上がろうとする身体をさっとジョンが支えてくれる。


「ほれ、飲みな。」


マルスが差し出した赤い液体を飲む。


あ、何かスッキリした。


てか、これアセロラ?


「大分落ち着いたわ。ありがとう。」


「良かった、良かった。にしても大将がこんなに酒に弱いとは知らなかった。悪いことしたな。」


「いやいや、大丈夫。完全に俺のミスだから。てかもしかして運んでくれたの?」


「なあに、大したことないさ。狼人間は力が強いのが取り柄だからな。よし、もう結構日も上っちまってるし、出るぞ。支度出来るか。」


「ああ。」


せっかくの雑居部屋だったのに、全然他の人と交流できずじまいだった上に、みんなに迷惑かけちゃって悪かったな。


メーテルさんのご飯の味も憶えてないし。


く~!もう当分酒はやらん!


「また来てね、坊や…。」


ローラさんの頬へのキスで、視界をクラクラさせながら、別れを言い、俺たちはドラキュラ館を出た。


郊外から繁華街の方へ歩き、昨日のメーテルさんのお店の角に差し掛かる。


「そういえば、言おうと思ってたんだが、メーテルの店は宿屋と併設してるんだ。長期滞在する場合はこっちがお薦めだぞ。」


「へ~そうなんだ。」


ま、どう考えてもローラさんのところに長期滞在は無理だもんな、貧血になる。


「あれ、こっち?」


昨日俺たちがテルーナに入った港、というか空港?を通り過ぎていく。


「今日は大将にロムルス王国の王都アーモを見せようと思ってな。テルーナと他の国を行き来するには二通り方法がある。行きのように天使のゴンドラに乗るか、トーテムを使うか。」


「トーテム?」


「行けばわかる。」


マルスは得意そうに言った。


それは大ギルドの裏にあった。


表の喧騒とは裏腹に閑散としていて、そこにあったのは、男性の腰くらいの高さの石柱と…女性?


「あ…!」


ジョンが身体をビクンッとさせて叫びそうになった自分の口を塞いだ。


「そういえば、ジョンもトーテムを使うのは初めてだったな。」


女性は白に近い金髪にどこまでも透き通るような青い目をしていて、肌も恐ろしく白く、神々しいばかりの美しさだった。


耳が尖っている…まさか。


オフィーリア 78歳 女 エルフ HP4600 MP50000


78歳!?


ま、ローラさんなんて約300歳だしな…女ってこわい。


「ロムルス帝国までお願いします。」


マルスがお金をオフィーリアさんに渡す。


オフィーリアさんは無言でお金を受け取ると、手をトーテムに翳した。


「おい!二人ともぼさっとしてないで早く!」


呆然としていた俺とジョンをマルスが円陣の中へ引っ張り込んだ刹那、トーテムが青く輝き、まばゆい光が俺たちを包んだ。


目を開けるともうそこには別の景色が広がっていた。


「…すっゲッ!」


感動して立ち尽くしていた俺の背中を誰かが蹴り飛ばした。


俺が円陣から飛び出て地面にぶっ倒れると背後からヒュンっという音がして、振り返るとそこにもうエルフはいなかった。


「綺麗だけど、愛想がない…!」


「まあ、あの人はここいらじゃ唯一のエルフだ。テルーナ国に雇われているから身の保証はされているが、人間に対して思うところの一つや二つくらいあるだろう。」


「そっか…そういえばジョ…んっ?」


ジョンもエルフに会うの初めてか?と聞こうとして俺はフリーズしてしまった。


「伝説の…伝説のエルフをこの目で…!」


ジョンは消え去ったエルフの方を見つめながら、荒ぶる呼吸を手で抑えながら、顔を赤らめて、歓喜にうち震えている。


俺は未だにお前のキャラが分からないよ…ジョン。


「そんなにエルフが好きならもっと早くに連れて行ってやったのに。」


「いえっ!そんなこの目で見れただけで十分ですっ!」


目がキラキラして光線でも発射しそうだぞ!


ハリウッドスターばりの美形なのに、なんか残念だ。


「そこの者たち早くしろ。」


そういえばこのトーテムをぐるりと囲む様に兵士がズラリと並んでいた。


「あ~悪い。ほらよ。」


マルスは他の兵士と比べて少し派手な防具を身につけている男に左腕を差し出した。


その兵士の横のお付きがあのブラックライトを当てる。


「次!」


ジョンも同じ様に左腕を差し出す。


「次!」


俺も倣って左腕を出す。


タカイ・マサト 男 人間 冒険者ランクJ


お~出てきた!


「よし、行ってよいぞ。」


「待て。」


そこに馬に乗り、護衛を10人程つけた男がやって来た。


「ヴォルフマン中将!」


急に兵士たちが緊張するのがわかった。


隣でマルスも強張っているのがわかる。


「その者たちは?」


「はっ!冒険者二名と奴隷一名にございます。セキュリティーカードをそれぞれ確認いたしました。」


「そこの者。」


中将が鞭でマルスを指した。


「何の目的でロムルス王国に?」


「…クエストでテルーナ国に赴き、帰国した次第であります。」


「家は?」


「カントーラにあります。」


「生まれは?」


「同じくカントーラです。」


「親の職業は?」


「宿屋です。」


「いつからカントーラに?」


「先祖代々の宿屋です。町の者に聞けばすぐわかりますので、東へおこしの際はぜひお立ち寄りください。」


中将はそこまで聞いてやっと納得したようだった。


「すまないな。最近は身体に特徴の現れぬ異種が入り込むことがあるのだ。混血とかな。もう行って良いぞ。」


「…はっ。」


中将は護衛と共に走り去った。


俺たちはやっと解放され、王都アーモに入った。


「たっく、ますます厳しくなってるぜ。このままじゃ国外に出ることもままならねぇ!まあいい。絶対倒してやる、こんな国…!」


マルスはイラついていた。


俺は何も言うことができなかった。


本当に俺に変えることができるのだろうか?


救えるのだろうか?


「…悪いな、何か熱くなっちまって。それよりどうだ?王都アーモは?」


「あ、ああ。やっぱりデカいな。テルーナより大きいな。」


「まあテルーナは町が独立した国になったようなものだからな。アーモはこの広大なロムルス王国の首都だから人も物も多いさ。」


大きいし、それなりに活気もある。


でもテルーナにあった伸びやかさがそこには無かった。


町のいたるところに兵士がウロウロして、市場の賑やかな声が聞こえる一方で一歩路地に入ると争う声が聞こえる。


埃が舞い、なんだか雑然として不衛生な感じだ。


「ここは、貧しい者たちの市場だ。区分分けがされてて、この坂を上るとそれなりに富裕層、その上は貴族で、最上階が王族が住むあの城だ。」


坂を上ると下とは違った整然とした町並みが現れた。


「アーモのギルドはここだ。俺の定宿はこの二つ先の角を左に曲がった三つ先だ。少し高いが、治安を考えたらここが良い。ちょっと廻るか?」


「うん。」


流石王都なだけあって、高級感溢れる小奇麗な店が立ち並んでいる。


武器に、防具、服、宝石、家具、食材、日用雑貨、娼館ですら下の市場と比べると上品に見える。


マルスとジョンが鍛冶師に用があるからと、俺に奴隷商で待っているようにというので俺は生まれて初めてその手のお店に足を踏み入れてみた。


「いらっしゃいませ。どんな奴隷をお探しでしょうか?」


「え、あ、えーと、まずどんな奴隷があるのかなーって。」


「失礼ですが、お客様ご職業は?」


「冒険者です。」


「なるほど。では戦闘用をお探しということで?」


「うん。まあそんなところかな。」


「では、こちらへ。」


薄暗い店内を案内され、階段を下りる。


「どうぞ。」


扉を開くと、そこにはずらっと一列に並ばされた奴隷たちがいた。


「人間だけじゃないんだな。」


犬耳のついた奴隷や、緑の身体をした奴隷など、明らかに人間とは違う種族がほとんどだ。


人間至上主義と聞いていたので驚いた。


「奴隷であれば異種でも構いません。むしろ人間でない方がよく売れます。人間だと後ろめたさが出てしまうのでしょう。」


では、異種なら構わないのか、と俺は少しむっとした。


「こちらはいかがでしょう?狼人間なので、力も強く俊敏で、もちろん健康体です。」


「いくら?」


「19万5000ディナールでございます。」


「え~と、奴隷の相場ってそんぐらい?」


「物によります。戦闘系であれば高くても20万ディナール程でございます。女性で且つ戦闘系ですと、種族にもよりますが、40万ディナール程でしょうか。」


「女の方が高いのか?力は男の方があるのに。」


「性奴隷だけですと、20万ディナールです。」


「…あ、理解。」


戦闘ができる女奴隷は性奴隷も含むから高いのか…ってやばい!俄然女が欲しくなってきたー!!


…いや、いかんいかん。


俺には使命がある。


使命があるのだ…くっ!涙がちょちょ切れるぜ!


どっちにしろそんな買える値段じゃないしな。


「一番安い奴隷ってどんなの?」


「人間の子どもでございますね。5000ディナールくらいでしょうか。」


子どもか…。


「今回はいいや。また今度改めて来るよ。」


「はい。ではまたの機会をお待ちしております。」


お店を出るとちょうど、マルスたちも来たところだった。


「よお、どうだった?」


「まだ考える時間が必要みたい。お金も無いしね。」


「ま、一生のことだからな。ゆっくり考えろ。」


「うん。」


すると突然、鐘の音が聞こえた。


それも不吉なまるで葬式の時を告げるような。


「…処刑だ。」


そう言うとマルスが走った。


「え?処刑!?ちょっとまっ!」


「行きましょう!」


ジョンに手を引かれて俺もマルスの後を追った。


マルスは坂を一目散に駆け下り、先ほどの市場を抜けて下の階の中央に向かう。


突然開けて、土が剥き出しの丘が現れた。


その丘の回りは大勢の群衆に囲まれ、その群衆を押しとどめるように囲われた柵の中に、木の杭に縛られた人間がいた。


人間?


いや違う。


あの耳、しっぽ…それは、狼人間だった。

軍隊の仕組みと名称が今いちわかりません。

詳しい方がいらっしゃったらぜひ教えていただきたいです。

では、ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました!

感想、ご意見お待ちしています^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ