ヘヘーイ☆
性的な描写があります。苦手な方はご注意してください。
「にゃっほ~い!!」
「チューッ!」
「モ~ッ!」
次の日のミナリーは絶好調だった。
モンスターの血潮と残骸を撒き散らしながら軽やかに舞う姿はまるで月光の下の蝶のよう。
絶好調である!
「うにゃ~!!」
いや~清々しいまでの殺戮っぷりだな。
他の冒険者に他所のダンジョンに移ってくれといわれないか、心配になるほどだ。
「ミナリーが元気になってくれて良かったですね」
「ああ、何よりだな」
俺とエリーゼは縁側で茶を呑みながら庭で遊ぶ孫を見るような眼差しでミナリーを見守る。
…と見せかけて俺はとあるミッションを完遂すべく、エリーゼと共にモンスターをミナリーの方へさりげなく誘導していた。
「わっしょ~い!!」
「チュチューッ!」
テンションだだ上がりのミナリーから変な掛け声がした気がするがスルーする。
一瞬このまま池ポチャするのかと思ったぜ…。
それはさておきミナリーは順調にモンスターを屠っているようだな。
「…?ご主人様…」
「ヘヘーイが大きく見えるか?」
「!は、はい。ご主人様もですか?」
「ああ」
計画通りだ。
今回のミッションはずばりヘヘーイの正体を見破ることである。
事は昨晩に遡る。
「はは…流石に疲れたな…」
俺はエリーゼのマッサージを受けながら、満足そうにクークー眠っているミナリーを見つめ苦笑した。
「ご主人様のおかげでミナリーもすっかり良くなって良かったですね」
「ああ、けど、その分エリーゼのことを抱けないのが辛い」
「えっ、あっ、私はその大丈夫でっ…きゃっ…んっ…」
きゅーと顔を赤くしてしどろもどろするエリーゼが可愛くてそのまま押し倒して口付けた。
「んっ…ちゅっ…はっ、はっ、あ、そこ触っちゃっ…!」
「…あれ、エリーゼ、やっぱりやせ我慢してるんじゃないの?これの感じだと」
「…あぅ、う、で、でもご主人様、お疲れで、ご無理は…っ」
「んーまぁでも指と舌は健在だし」
「え?」
「マッサージのお返し」
にいっと笑うと俺はキョトンとしたエリーゼに再び口付けた。
「…これはこれでアリだな」
啼き疲れて眠っているエリーゼの汗でしっとりとした頬を撫でながら、俺は先程のエリーゼの痴態を思い起こしてニヤけた。
そういえば幼い頃、姉と共に嫌々通わされていたピアノ教室で先生に手だけは褒められてたっけ。
指が長くて、柔軟だって。
エリーゼのナイスボディに、ミナリーにたっぷり搾り取られたはずのマサトJr.は懲りずに出動態勢になっていたが、どうどうと宥める。
腰痛が心配だし、腹上死はごめんだ。
明日こそしっかり堪能しようと灯りを消してベッドに潜り込みウトウトしだした刹那、ブツブツブツブツと低い声が隣の部屋から聞こえてきた。
『げろ…もげろ…もげろ…盛り過ぎだろ…もげろ…もげろ』
憎しみに満ちた声に沈みかけていた俺の意識は急浮上した。
相手に気付かれないように、そっと寝台を抜け出すと剣を取り、隣の部屋を覗き見る。
人の気配はしない。
素早く扉を開け、部屋に押し入る。
シーンとした部屋はやはりもぬけの殻だった。
隅々まで入念に見渡したが、誰もいない。
おかしいな、確かに人の声が聞こえたのに…。
不安を覚えながら、念のため他の場所も見回ろうと部屋を出ようとした時、いつもの危険を知らせる悪寒が背筋を走った。
ガランッ!
咄嗟に横に飛ぶと後ろからヘヘーイが俺目がけて倒れてきた。
あ、あぶねえ…!
てか今確実にコイツ自身から殺気が出てたよな!?
俺の脳内に今までのヘヘーイの不審な点が走馬灯のように流れた。
間違いない、コイツは…。
「いかがされたのですかっ?」
物音で飛び起きたらしいエリーゼが、心配して部屋を覗きこんできた。
「…いや何でもない。杞憂だったみたいだ」
俺はへへーイを拾うと、立てかけ部屋から出た。
はうっ!
ドアを閉めてエリーゼを見た俺は心の中で思わず叫んだ。
急いで寝室から出てきたエリーゼは全裸に前をシーツで隠している状態だった。
俺が数刻前に脱がしたせいなんだが…。
薄いシーツでは隠しきれないエリーゼの巨乳の形がくっきりと透けて見えて、余計にエロい。
スラリと細いのに、豊かな胸はもちろん、くびれから腰周りに女らしい肉感があってたまらないな。
肌も白くてきめ細かいからムチムチというよりピチピチという表現の方が合っている。
う、むしゃぶりつきてぇ…!
30%…50%…俺のナニが急激に充電されていく。
「それなら良かったです」
ホッとした顔をしたエリーゼが部屋に戻ろうとクルリと俺に背中を向けた。
その瞬間、前しかシーツで隠せてないエリーゼの真っ白で美しい背中からくびれ、ふっくらとしたお尻までの滑らかな曲線が丸見えになった。
充電100%!発射準備完了!
「きゃっ、あんっ」
ほっそりとしたウエストを抱きしめ、エリーゼに背中から覆いかぶさるように押し倒した。
パラリと廊下の床にシーツが落ち、巧い具合に敷布へと変わる。
「ぅうんっ、ああっ!」
エリーゼの女性らしいお尻を高く持ち上げると、たわわな胸が床に押し付けられエリーゼは少しくぐもった声を出したが、俺は容赦なく突き進んだ。
前方にエリーゼのゲートを確認!
侵入許可を要請しろ!
許可が出ました、隊長!準備万端です!
よし、マサトJr.発射!
薄暗い廊下に荒い呼吸音と女の声、汗が弾ける音がリズミカルに響く。
それが最高潮に達した時、エリーゼは絡みつくような声を上げ身体をビクビクンっと跳ねさせた。
隊長、任務完了です。
うむ、ごくろうだったな。
ぐったりと廊下に俯せになっているエリーゼをシーツで包み、抱き上げて寝室に戻る。
スラッとモデル体型のエリーゼをお姫様抱っこしても余裕があるということは、筋トレの成果が確実に現れているな。
いつもより大きかったエリーゼの扇情的な声や激しい打ち付ける音が家中に響いていたにも関わらず、ミナリーは身体を丸めてグーグー熟睡していた。
ソロになった途端捕まるわけだ。
夢を見てるのかたまにピクピクっと耳が動いている。
「無理させてごめんな」
「…いえ、ご主人様こそお疲れなのに…嬉しかったです」
少し掠れた声に長い睫毛を重そうに瞬かせる瞳がうっとりするほど色っぽい。
「どっちが良かった?」
「え、えとっ、そのっ」
と思うと度々見せる初々しい恥じらいが見たくてついつい意地悪をしてしまう。
「ど、どちらも、きっ…気持ちよかった…ですけど…」
目線を落ち着かなく動かして赤くなったエリーゼが、しばらく黙りこくった後、えいやっと俺の耳に唇を近づけた。
「…ご主人様を中に感じれる方がもっと幸せです…」
その言葉に一瞬で臨戦状態になったマサトJr.を俺は再び出動させた。
20代の健全な男の性欲なめてました。
案じた通り腰痛になった俺は朝からエリーゼの治癒魔法のお世話になってしまった。
腹上死しなくて良かった…。
「ご主人様?」
いかんいかん、昨晩のことを思い出すと、ニヤニヤしてしまう。
今回はミナリー一人にモンスターを退治させるために安全策をとって一階層で戦ってはいるが、油断は禁物だ。
モンスターを発見次第、俺が軽めに切りつけたり、エリーゼが狙いを定めてミナリーが待ち構えているのと反対の方向に防御魔法を張り、誘導する。
「…ん?ヘヘーイ太ったにゃ?」
遂に誰が見ても剣として明らかにおかしい形に膨らんでようやくミナリーは異変に気が付いたようである。
「そら、そっち行ったぞ!」
哀れなノマウスがまた1匹姿を現した。
「にゃんっ!」
へへーイを見つめ目に?を浮かべていたミナリーだったが、直ぐにハンターの顔に戻りノマウスを一瞬で消し去った。
『グエーーーーーーーップ!!!』
「うおうっ!」
「きゃっ」
凄まじいゲップの音と共に爆風が起こり、俺とエリーゼはぶっ飛ばされた。
ミナリーは何とか踏みとどまり、感心したような顔をした。
「ご主人様、すごいゲップにゃ」
「お、俺じゃねえよ!正体掴んだり!!」
まさかの冤罪を晴らすように、俺はへヘーイをビシっと指差した。
「今のへへーイのゲップにゃ?」
「おうよ。おいおい、シラを切る気か?この桜吹雪が目に入らねーかい。この桜吹雪が全てお見通しでいっ!」
「カツラフブキ?」
全国の薄毛に謝りなさい。
「まだ吐かないのか…仕方ねえな、刀身折るぞ」
『…』
「…オズさんが」
『…ッ!…アイツだけはやめろ…』
弱弱しく吐き出された言葉はやはり俺が昨夜聞いた声だった。
他の冒険者に見られる前に俺たちは一端家に戻ることにした。
「えっと、へヘーイさん、まずお座りくださいって、そうもいかないし、椅子を」
「エリーゼ、落ち着け」
エリーゼはへへーイをどう扱えば良いのか混乱しているようだ。
『おれっちはミナリー姐さんの膝にいますんでぇ、お構いなく~』
へへーイがミナリーのすべすべの膝にデレデレしているのが声だけで伝わってくる。
クソッ!何がお構いなくだ!
特等席だぞ!そこどけ!
「お腹ペコペコ~身体ヘロヘロ~」
一方ミナリーはヘヘーイが喋っても全く動揺を見せることなくいつも通りだった。
ひとまずイラついたので、ミナリーからへヘーイを取り上げ、机の上に放り投げた。
『何してくれてんじゃボケエエ!!イテー…兄ちゃん今ので骨折れたやないか、3万ディナールよこせ!』
「そ、それは、大変」
「エリーゼ、冷静に考えろ。剣に骨はない」
『奥さんお構いなく~、でもそうですね、奥さんにその気があるなら、その豊満な身体でご奉仕して…』
カーン
「やかましいわっっ!!」
『いってええ!!お前、なんでカナヅチ持ってんだよっ!!俺様のナイスバアディに傷が付いたらどうしてくれんだよ!!』
「うるせえ!てかなんだナイスバアディって!無駄に発音良く喋んじゃねえ!イラっとするわ!」
『もうお嫁にいけないわん』
「いきなりカマ声で喋んな!!気色わりい!」
「えっと、えっと、お二人ともお茶はいかがですか?」
『いっただきますっ!!』
「お前飲めないだろっ!」
『エリーゼさんから滴る汁なら何杯でも~げへへへへ』
カーン
『うおふっ!』
「少し黙れ」
「あ~!そういえばなんで急にヘヘーイが喋ってるにゃ?」
一人でムシャムシャお菓子を頬張っていたミナリーが、今気が付いたかのように叫んだ。
彼女の中に流れる時間は我々とは少し違うらしい。
しかし、おかげで良いタイミングで本題に入れた。
「そうだ、そもそもお前は何者だ」
『ふふふ、良くぞ、聞いてくれた!我こそは…』
「我こそは?」
『…我こそは…』
「我こそは?」
『…知らん』
「は?」
『知らないんだ。気が付いた時はちょうど生まれた工房から武器商に売られるとこだったよ。おれっちを鍛えた人はもう死んでたけど有名で、貴族の間で売り買いされる内にここまで流れ着いた。理由は武器屋のおっさんの言った通りさ~』
「なぜ自我があるのか分からないのか?」
『ああ。今まで持ち主と喋ったこともなかったしな。ただ喋れて良かったって思うこともあったぜ!三番目の持ち主は脂ぎったイ○ポ野郎だったが、奥方が熟れた美女で、一人で慰めてるのを覗き見してる配下のフリして手伝ってやったのさ!‘奥様、もっと膝を立てて大きく開いて、隠れている僕にも見えるように…。そうもっと激しく出し入れして、おっと左手がお留守で…』
カーン
『いてえええ!!』
「戻って来い」
『分かったよ…。まあそこもすぐ売られちまったよ。へファイの作品のわりには見た目も地味で鑑賞用でもないし、切れ味も悪いらしいから。でも良かったよ、ここに来れて。あの奥さんより美しい女性に使われてるんだから、夢みたいだぜ…!あと、今まで知らなかったけど、モンスターって美味しいのな!』
「美味しいのか?」
『ああ!別に普段腹は減らないんだが、モンスターを斬ると身体に力がみなぎって、息子が元気になっちゃうわん。あらやだ、私ったらはしたない♪』
「…」
『…うっ…今のスルーは中々精神にキタぜ…。だからお願い!売ったりしないで~!!』
「…お前の切れ味が悪いとは思えないんだが、へファイが作った物はそんなにスゴいのか?」
『ああ。普通の剣と比べたら段違いだろうな』
「でもヘヘーイも切れ味イイよ?」
『ミナリー姐さん~~~!!!!一生ついて行きやす!!だからお願い!そのお胸に鞘をパフパフさせ…』
カーン
『うぎゃあああ』
ふう。流石に固くてハンマーの方がダメになりそうだ。
後で追加で買ってこよう。




