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エプロン

一週間近くが過ぎた。


俺はあれから注意深くヘヘーイを観察してきたが、特にこれといって不審な点はなかった。


いや、あるといえばある。


ミナリーがモンスターを斬る度に本当に少しずつだが、ヘヘーイの中心部分が膨らんでいく気がするのだ。


人に例えると胃の位置くらいだろうか。


だが、次の日になると元に戻る。


俺の思い込みで錯覚を起こしている可能性も否めないが。


そしてヘヘーイが名刀なのは本当だったようだ。


「ヘヘーイはスゴいよ!ヘヘーイを使うといつもよりずっと強くなるの!」


確かにミナリーの強さは目を見張るものがある。


それがランクCによるものなのか、それともヘヘーイのおかげなのか、ペーペー冒険者の俺には見当がつかないが、本人が言うのだからそうなのだろう。


しかしそうすると何故ヘヘーイはこんな南まで流れてきたのだろうか?


名工が造った名刀ならとうにおエライさま方に渡っているだろうに。


まあ今の処こちらの不都合にはなっていないので、良しとしよう。


現在うちのパーティーの一番の問題は・・・俺だ。


前方からの攻撃にはミナリー、ターランの二階層では敵なし。


しかしダンジョンの恐ろしさはモンスターとの戦いが必ずしも正面衝突ではないことだ。


前後左右薄暗いダンジョンの見えない奥行から突然モンスターが現れることもある。


言ってるそばから・・・来た!横だ!


バシンッ!


両手剣を振り上げた俺が剣を下ろす前に、青白い光と衝突した弱いモンスターは分が悪いと判断したのかさっさと逃げて行った。


「ご主人様!大丈夫ですか?」


エリーゼの防御魔法だ。


エリーゼは前方にミナリーがいることで仲間の守りに集中できるようになったらしい。


運動神経も二回のマユミール退治で飛躍的にアップ、そして魔法の強みは発動から行使までが一瞬だということだ。


もちろんそこまでなるには段階があるらしく全ての魔法が一瞬で行使できるわけではないらしいが、自分の役割を理解しているエリーゼは守りの魔法を日々鍛錬しているようだ。


つまり俺と同時にエリーゼがモンスターを確認した場合、俺よりもエリーゼの方が対処が速いということだ。


いや、下手したら、俺より後に気付いても、俺より速いかもしれない。


この状態では俺のチートも死にスキルだ。


君たち・・・頼もしすぎるよ・・・。


このままではいけない。


この一週間、高校以来の早朝筋トレと素振りを復活させたが、根本的な解決にはならないだろう。


心を労する者は人を治め、力を労する者は人に治めらる。


考えろ、考えるんだ。


タカイ・マサト 22歳 男 人間 HP344 MP10


自分のステータスを見ながら考える。


最初50だったHPも随分上がったものだ。


モンスター退治や盗賊退治を行う度に増えていった。


マルスやミナリーのHPも相当高いし、これは鍛錬して増えていくものなのだろう。


対してMPは全く増えていない。


マルスもMPは少なかったし、ミナリーに至ってはない。


やはりこちらも魔法を使わなければ伸びないのだろう。


ん・・・?てことは使えば増える可能性があるってことだよな?


てか、すっかり忘れてたが、MPがあるってことは魔法が使えるということになるよな?


そうだ!これだ!


一つ一つで適わないのなら武器を増やせば良いんだ!


魔法が使えれば、攻撃のリーチも伸びミナリーの援護もできるだろう。


早速、エリーゼに聞いてみよう。


「いけません」


即答だった。


「え、何で?」


「ご主人様は人間です。ですから、決して使ってはいけません」


エリーゼにしては珍しく、俺に対してはっきりと拒絶の意思を示している。


「試すだけでもダメ?呪文唱えてみて無理だったら、諦めるからさ」


「絶対にいけません」


呪文を唱えるのすらダメなのか?


「もう少し詳しく理由を教えてくれないか?何で試すのすらダメなんだ?」


エリーゼは珍しく険しい顔のまま、少し黙り、答え始めた。


「・・・人間がエルフを疎む最大の理由は魔法を使うからです」


「魔法を使える種族がエルフだけだからか?でも魔法がこの世界に与える恩恵は少なくはみえないが」


少数派が世から煙たがれるのは道理だ。


しかしこの世界の中心部はハイエルフのシステムといいその魔法による部分も大きいはずだ。


名よりも実を求める人間だったら魔法を取得、もしくは利用することくらい考えるだろう。


「いえ、魔法は人間にとって役に立つ物でもあり、毒でもあるのです・・・古今東西、呪文を口にした人間は悉く亡くなったと云われています」


「・・・え?」


「つまり、魔法を使おうとすると人間は、死ぬのです。ですから人間は魔法を恐れ、エルフを疎んできたのです」


そう言うとエリーゼはそっと俺の胸元に顔をうずめて来た。


「だからご主人様は絶対にダメです・・・」


エリーゼがここまで言うのなら仕方がない。


しかしMPが付いているのに、何故魔法を使うと死んでしまうのか。


獣人にはMPが付いていないが、彼らが使った事例はあるのか。


諸々疑問も湧いたが、今日はこれ以上聞くのは止めといた方が良さそうだ。


胸に寄り添って来たエリーゼの背中に手を回し、しばしば柔らかな身体の抱き心地を堪能した。


結局悩みは解決されることなく、悶々としながら身体を鍛える日々が続いていた。


そんなある日、服飾店で注文していたモノが出来上がったという知らせを受け、俺は一人こそこそとそれを引き取りに行った。


「ふふふふふ」


「ご主人様が変にゃ!」


「いかがなされたのですか?」


自分でも気持ち悪いと思っているが、ニヤニヤが止まらない。


「流行りの服は嫌いですか?」


そう言うと俺は包みを開いた。


「これは・・・前かけですか?」


「フリフリ~!」


そう!


白いフリフリのエプロンだ!


こちらにもエプロンはあるようだが、本来の使われ方同様、服を汚さないようにつけるいたって質素なものだ。


よってこれは特注である。


汚れても良い前かけに何故あえて白い布を使い、装飾をするのか、と言うお店のお姉さんへの説明に苦労した。


一言、それは男のロマンである!


「しかしなぜ前かけにこのような装飾を?」


ここにも一人、同じ疑問を持つ家庭的な女性がいた。


「それは男のロマンである」


としか説明しようがない。


「これには特殊な着方があってな、裸で着るのだ」


「あ、前かけではなく、夜着なのですね」


「いや、その格好で家事をする、俺の故郷の衣装だ。やってみてくれ」


「ご主人様の故郷の衣装なのですか、はい、わかりました」


エリーゼは故郷の衣装だと言った途端ニコっと微笑んで了解してくれた。


ちょっと胸がチクリとするが、う、嘘じゃないもんねっ!


「わ~い!可愛い~!」


ミナリーはもう既に着てウロチョロしている。


猫耳に、尻尾に、裸エプロン・・・!


なにこれ凄まじい破壊力。


「・・・ご主人様・・・いかがでしょうか?」


エリーゼは少しスースーするのか恥ずかしがっている。


・・・巨乳エルフの裸エプロン・・・もう俺は今日死んでも良いかもしれない。


「で、では、お食事の支度をしてまいりますね」


エリーゼはいそいそと台所へ下がってしまった。


そうか、この格好で家事をするって言ったもんな。


「ご主人様!ミナリーは何すればいいにゃ?」


「えーとエリーゼがご飯は作ってるから、掃除かな」


「は~い!」


そう言うとミナリーは雑巾がけをし始めた。


というか、箒で掃くとかテーブル拭くとかあるだろうに、あえてその格好で床の雑巾がけだと・・・?


ミナリーの靭やかな背中に巻きつけられた白いリボン、高く突き上げられたお尻からは紫色の尻尾がふりふりと俺を誘うように動いている。


そして当たり前だが、下着はつけていない・・・。


「うお~!!」


「にゃ~んっ!」


俺は四つん這いになっているミナリーの背後からのしかかった。


・・・や、やってしまった。


ミナリーは床でぐったりしている。


諸々で汚れた床を拭くために俺は台所へ入った。


うおっ!!


そこには裸エプロンで料理を作っているエリーゼがいた。


「あ、ご主人様。まだもう少しお待ちください」


よ、横乳が・・・エプロンのあいたところから覗くたわわな横乳が俺の目を釘付けにする。


真面目な顔で手元に集中しているが、ほぼ裸のその格好は実に破廉恥。


このギャップがたまらん。


こっそり後ろから近づく。


キュッと引き締まったミナリーのお尻も良いが、このエリーゼの白くてふっくらとした形の良いお尻も見事なものだ。


手元が動く度に爆乳が揺れているのが分かる。


「あんっ!」


エリーゼが包丁を置いたのを見計らって後ろからエプロンの中に手を入れて揉みしだく。


そのまま台所でたっぷりいただいた。


ごちそうさまでした。


そして夜も、いつものようにベッドで二人を愛した俺が意識を手放しかけた時、


『・・・この変態め・・・』


という声が隣の部屋から聞こえた気がしたが、夢か現か分からないまま、眠りについてしまった。

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