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前衛☆

露骨な性描写があります。苦手な方はご注意ください。

「集中しろ!!ヨイショっ!」


「おお…!」


今俺の前ではトンカントンカンと作業する音や掛け声と共に着々と出来上がっていく家の姿がある。


思い立ったら吉日と俺たちはすぐに行動した。


次の日には棟梁のカルペンさんと会い、エリーゼやミケと相談して設計図を書いてもらった。


案がまとまるとカルペンさんたちを山頂に連れて行き、荒れた土地をならし、木材を運びいれ、今に至る。


現代の日本と違って設計のバリエーションもあるわけではないし、その土地柄に向いた設計などもあるから、プロに任せ短時間で設計図はまとまった。


城跡も利用出来るところは利用しようというスタンスだったので、大掛かりな撤去作業もそんなにはなかった。


資材の搬入もエリーゼのおかげで大幅に時間と労力が節約できたのは言うまでもない。


そして俺がオズさんから土地と家(仮)を購入して二週間…およそ家の7割が完成したのだ。


「すごいな~!」


このままだとあと一週間後くらいには完成してしまうではないか。


「普通の家だったらかかり過ぎだよ~今回は家というよりお城に近いもんね~」


なるほど、そんなもんなのか。


俺がいた世界でも古代の土木技術は機械がなかった分、現代よりもある意味優れていたらしいしな。


しかしこのクオリティー…墨俣一夜城の豊臣秀吉もびっくりだろうよ。


全ては順調だ。


ある一点を除いては…。


「きゃっ!」


「危ないっ!!」


エリーゼの背後から迫ったタイグレットの牙に剣を咬ませ、手裏剣で首を刺す。


ポンと牙が残った。


「今日はこれくらいにしようか。」


「…はい。」


家を発注し、木材や資材、大工の方々、それから全員が一ヵ月程は食いつなげる食料を山に運び入れて、俺たちは一端、ケードラを後にした。


家から近い所ならともかく、それ以外は仕事場で寝泊りするのが彼らの常識らしい。


一方、前回の活躍でベレーヌ家にすっかり気に入られたらしい俺はまたカントーラへの護衛を頼まれた。


家の資金で金銭面に不安があった俺にはありがたい仕事だった。


一つ大変だったことと言えば、エリーゼに人間の少年に化けててもらわないといけないことだったが、回復薬を常に携帯させたので事なきを得た。


夜の生活を我慢しなければならなかったことも苦痛以外の何者でもなかったがな…。


今回は盗賊に襲われることなく無事ベレーヌ家一行をカントーラに送り届けた俺は早速マルスを訪ねたが、生憎仕事で長期間家を空けてるらしい。


ベレーヌ家は二週間程カントーラ近辺で商売をするため、その間俺とエリーゼは女神の丘からテルーナへの向かった。


初級者向けのダンジョンであるターランの森で力を蓄えたいのと、テルーナのトーテムをエリーゼに認識させるためだ。


そうすれば、わざわざ女神の丘を経由しなくても家からテルーナに直行できる。


ダンジョンから日帰りできるのは実に魅力的だ。


俺たちは一週間と少しテルーナに滞在した後、トーテムを使い、一端家の進捗状況を確認し、またテルーナへトーテムを使い戻ったのである。


明日カントーラに戻り、ベレーヌ家をケードラに送り届けなければならないので、俺たちはいつもより早めにダンジョン攻略を切り上げた。


エリーゼも一緒なのでもちろん前のように雑居部屋にするわけにはいかず、今回はメーテルさんの宿にお世話になっている。


「ご主人様、申し訳ありません…。」


「いやいやエリーゼは初心者なわけだし、気にすることないよ。」


そしてここ最近浮上してきた問題、それはエリーゼの戦闘能力だ。


本人も痛い程に理解しているのか、ダンジョンに入る度に激しく凹んでしまっている。


やばい、今日は特にエリーゼが背中に子泣き爺でも背負ってしまったかのような落ち込み方をしてる…!


俺が途中でエリーゼを庇って怪我をしたことでまだ自分を責めているのだろう。


「あ、ああそうだ!マッサージしてくれよ。エリーゼのマッサージは最高だから!」


「は…はい。」


どうしたもんか…。


決してエリーゼがダンジョンで役立たずだということではない。


むしろエリーゼの防御魔法や治癒魔法は大変役に立っている。


ただ、今の構成がまずいのだ。


ダンジョンでは切り込む者も大事だが、味方がいればそれを守る者も必要だ。


エリーゼは明らかに後援向きでうちのパーティーには前衛がいない。


「前衛か…」


ベッドの上でリラックスしながら考え事に耽っていた俺は思わず独り言を呟いてしまった。


その途端、エリーゼの手が少しビクっとしたのを感じ、俺は自分がしてしまったミスに気が付いた。


どうしよう、傷口に塩を塗ったか…!


「ご主人様。」


内心焦りまくりの俺にいつの間にか床に正座していたエリーゼの真剣な声音が降りかかってきた。


まずいぞ、まずいぞこの展開。


次の一手を考えられないまま、俺はエリーゼに釣られるように身を起こし、ベッドに腰をかけた。


「…私をベレーヌ家にお戻し下さい。」


「…え?」


予想外の展開に俺は開いた口が塞がらなかった。


「ベレーヌ家には戦闘能力の高く、器量の良い奴隷も数多くいます。私はエルフですから、向こうも多少無理してでも手に入れたいはず…。ですから、騎士団が認めてしまった契約ですし譲り受けた当初のことは細々言わないと思います…良い奴隷を紹介してくれるはずです。」


「…そ、そんな…それでエリーゼは良いの?」


そんなに俺のところにいることが嫌なのか、それとも…と俺は一縷の望みをかけて縋る思いで問う。


「…ご主人様と過ごせた日々は私にとって宝物です。物心ついた頃から人間から逃げ回る生活を送っていたので、こんなに穏やかな時間を過ごせるなんて…幸せです。ですから…ご主人様の足を引っ張りたくありませんっ…。」


エリーゼの湖水色の大きな瞳から溢れんばかりの涙が溢れ落ちてくる。


「…何言ってんだよっ!!」


俺はエリーゼをベッドの上に抱き上げた。


「俺はエリーゼがいないと嫌だ。」


「でもっ…ご主人様のご職業は冒険者です…戦闘能力の無い奴隷を持つのは大きなデメリットです…」


「メリット、デメリットの問題を話してるんじゃねぇんだよ。…心の問題だろうが。」


「…心…?」


「こっちを見ろ、エリーゼ。」


下を俯いて涙を流していたエリーゼが顔を上げる。


いつもより潤ったその透き通るような青が縋るように俺の目を見つめている。


「戦いなんかできなくていい、いっそ魔法が使えなくても良いんだ。エリーゼはいてくれればいい、傍にいて欲しい。それが俺の心だ…嘘だと思うか?」


「…ご主人様っ…」


「エリーゼの本心を聞かせて欲しい。偽りのない心を。」


「…ご主人様と一緒にいたい…ご主人様が大好きっ…何でもしますから、お側に置いてください…っ!…んっふ、はっ…んんっ!」


激しくエリーゼの口内を犯しながら、彼女の腰を抱えそのまま組み敷いた…。


「…ごっご主人様ぁっ…あんっ!…こんんあ…恥ずかしっ…!」


「…なんでもするって言ったろっ…」


今晩何度目か分からない愛を深め合いながら、俺はエリーゼの見事に実ったたわわな果実を見上げている。


俺の動きに合わせて揺れるその二つの実と、恥ずかしがるエリーゼの表情が最高だ。


思わずその二つの果実に手を伸ばす。


果実狩り、なんちゃって。


「…ああ…っっ!!」


「…くっ…!」


二人だけの狂宴はエリーゼが気を失いかけるまで続いた。


翌朝、メーテルさんの生暖かい微笑みに見送られながら、俺たちはテルーナを後にした。


家の完成が心から待ち遠しい。


「昨日言ってた前衛のことだけどな。」


女神の丘を歩きカントーラに向かいながら、昨晩はハッスルし過ぎたせいで話せなかったことをエリーゼに話す。


方法は二通りある。


ギルドでパーティーを募集するか、新たな奴隷を買うか。


しかし、何の縁も由もない人をパーティーメンバーに入れるのは何かと不都合だし、金銭面でトラブったら、最悪だ。


エリーゼはエルフだし、そういう意味でも心配だ。


そう考えると奴隷を買うのがベストか。


戦闘能力重視なのはもちろん、コストパフォーマンスから考えると男なのだが…。


ダメだ。


エリーゼをもらう前なら考えたが、俺以外の男がエリーゼと暮らすなんて到底耐えられん。


少年でもいずれ成長するから却下だ。


むしろ女に興味のない男は…?


おえ、ダメだ、俺が抱いてやれん。


一生飼い殺しになるのはそいつが可哀想だ。


奴隷とは一生の付き合いになる。


慎重に考えねば…。


「色々考えたんだが、新しい奴隷を買った方が良いだろう。エリーゼともコミュニケーションを取れるのが良いシタガッテ…オンナノドレイガイイトオモウ…。」


どう考えても女が良いに決まってる!


しかし女奴隷は性奴隷を兼ねるのがこの世界の常識…エリーゼには俺の下心が丸見えだろう。


反応が恐ろしい…!


「はい、良いと思います。」


予想外にニコっと微笑んで返してくれた。


え、マジで良いの?


「良いの?」


「え?」


「だってさ、女奴隷っていったら…そのっ…俺間違いなく抱くよ!?」


女奴隷にも手を出さない聖人君主だと思ってるわけじゃないよな?


…てかエリーゼなんて契約する前に抱いちゃったし。


するとエリーゼはふふふっと笑うと愛おしそうに俺を見つめてきた。


「ご主人様、奴隷はあなたのモノです。ご主人様のお好きになされて良いのです。私も奴隷ですから、ご主人様のなさることに異議など毛頭ありません。ご主人様はお優しすぎます。」


「…そういうもんか?」


「はい、私はご主人様のお側にいられるだけで幸せですから…あ、でも…」


そう言うと身体をモジモジっとさせてエリーゼが俺の耳元に顔を近づけた。


「新しい方に夢中になっても、思い出した時は私もたまに可愛がってくださいね…」


「っ…!」


て、天使のような悪魔だ。


俺はこれからも到底エリーゼには適わないだろう。

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