エルフ
ひとまず落ち着け自分。
見た目はどっからどう見ても人間の少年だ。
表示が壊れた…?
いや、女神様が授けてくれた能力にそんなことありえないよな。
エリーゼ 17歳 女 エルフ HP25 MP2
ん?
MPが減った。
MPって多分マジックポイントだよな。
ってことは魔法?
もしかして…こうなったら一か八かだ…!
「…この子にします!」
「本当にそれで良いのか?」
「オッケーです!てか、すみません、ちょっと急いで宿…医者に連れてきます!」
「え、君、契約ー…!」
「また後で戻ってきますから!」
俺は少年を抱き上げると一目散に大通りに向かって走った。
「すいません!一番近い宿屋ってどこですか?」
道行く人に訪ねる。
「ああ、そこの並びの右から二番目の建物だ。」
「ありがとうございます!」
エリーゼ 17歳 女 エルフ HP24 MP1
やばい、ヒットポイントも減り始めてる…!
俺は少年を抱きかかえたまま宿屋に飛び込んだ。
「いらっしゃ「すいません!二名一泊、個室で!」
「そ…そこの右端の部屋、105号室。ほら鍵。」
「ありがとう!」
宿屋のおじさんは俺の剣幕に押されて急いで鍵を渡してくれた。
急いで鍵をこじ開けて、部屋に入って、背中でドアを閉じる。
その瞬間腕の中の少年が急に重くなった。
「やっぱりな…。」
今俺の腕の中にいるのは人間の少年ではなく、正真正銘エルフの美少女だった。
まだ眠っているエルフ、エリーゼを俺はベッドに運…おっさんどういうことだ。
宿屋のおじさんも相当慌てたのか、ベッドがダブルだった。
俺的には全然あり、てかむしろグッジョブおっさんだけど、あの時俺が運んでたのは少年だよな…?
嫌な誤解は避けたいからあとで、部屋を替えてもらおう…と思った俺はすぐ自分の言葉を打ち消した。
ベッドに寝かせたエリーゼの見事な肢体に俺は思わず息をのんだ。
身長は165cmくらいだろうか、細くてスラッと長い手足、柔らかそうな太ももが印象的だ。
顔ももちろん閉じた目を縁取る金色の長い睫毛に、鼻筋は通り、ぷっくりした唇が本当に美しい。
尖った耳が見える。
か…噛み付きたい。
そして何といっても隠しきれない巨乳がベッドに置いた時に弾んでプルンと揺れたのを俺は見逃さなかった。
少年の姿の時に着ていた服は今の彼女には小さく胸周りがぴっちりしてしまって、ツンと上向きの頂がはっきり見えてしまっている。
これは巨乳な上にかなりの美乳だ。
丈も短くなってビキニのようになってしまってる服のおかげで丸見えのお腹は綺麗にくびれていて色白の素肌が眩しい。
汚れで黒くなってしまってる顔や手足も洗えばきっとこれくらい白くなるのだろう。
う~ダメだ!
これ以上は目に毒!
俺はガバっと掛け布団をエリーゼにかけた。
トントン、とドアがノックされた。
「ひひゃい!」
エリーゼに見蕩れてたせいで噛んじまった。
「あの…お客様です。」
宿屋のおじさんだった。
「あ~今行きます。」
誰だろう、とにかく部屋には通せない。
俺は鍵を締めて宿屋の受付に行った。
「やっほー、お兄さん。」
ミケだった。
「お前どうしたんだよ。」
「お兄さんこそ、医者じゃなかったのぉ~?」
うっ痛いとこを…。
「か、感染症かもしれないから隔離を…てかお前何でここが分かったんだよ。」
「あの商人に頼まれたことがあって追っかけてきたんだよぉ。はい、これ。」
ミケに渡されたのは商人のサインが入った一枚の紙。
「これは委託書だよ~。お兄さん契約もせずに出てっちゃうから。これ持って忘れずに騎士団で契約しないとあの奴隷さんはお兄さんのものにならないからね~。」
「そうだったのか…ありがとな。」
「いえいえどういたしまして。てかお兄さん…。」
もしかしてそっち系の人…?
ミケが小声で呟いてきた。
「…なわけあるか!バカヤロウ!」
「な~んだ。つまんないの~。まあいいや。お兄さんとはまたお話したいから、あとで来るね~。」
「二度と来るな!」
ミケはひらひらっと手を振って去ってしまった。
そうか、まだ俺はエリーゼの正式な主人じゃないんだな。
しかしエリーゼは受け入れてくれるだろうか。
ドアを開ける。
「あっ…。」
ベッドの上の美少女は起きていた。
海のような優しい青い瞳が俺を見つめてくる。
しかしあれだな。
完全に怯えてるよ。
「えっあ、気分はどう?」
「…。」
「あ、あのそうだ!薬!」
しかし、疲労回復の薬はMPに効くのだろうか?
「一応、疲労回復の薬、効くかわかんないけど、飲んでみて。」
毒が入ってないことを示すために少し飲んでみる。
「ほら、大丈夫だから。」
少し安心したのか、コクコク飲み始めた。
間接キッスキターーーー!!
エリーゼ 17歳 女 エルフ HP25 MP10
お、少し戻ったみたいだ。
効くなら疲労回復小じゃなくて疲労回復大にしとけば良かった。
「どう?」
「…少し良くなりました。」
「良かった!」
俺はホッとしてベッドに腰掛けた。
決してエリーゼとの距離を狭めたかったわけじゃないからな!
「あ…あの…。」
「ん?」
「私はその…どうして。」
あ~そうか、MP使い果たしてヘロヘロしてたもんな。
「えっと、俺が奴隷商人から君をもらったんだ。だから…差し詰め俺が君の次の主人ってことかな。」
言っちまった!
「あ、君がエルフだってことは俺しか知らないから大丈夫だよ!商人からもらった時もいやむしろこの部屋に入るまでは人間の姿だったからさ。」
何が大丈夫で何が大丈夫じゃないのか喋ってる俺自身が分かってない。
「…私がエルフだとご存じなかったのですか?」
「…う、うん。」
いや、分かってたといえば分かってたけど確信ではなかったし。
「…では、これから宜しくお願い致します。」
「えっ!?」
マジで!?
「その…良いの?俺で。」
するとエリーゼはくすっと笑った。
「え?え?わ、笑うとこ?」
「あ、すみません。何だか予想外で。」
エリーゼは綺麗な顔を俺へ向けた。
「人間の方はエルフに対してとても高圧的だと伺っていたものですから。奴隷になってしまったエルフは魔法目当ての家畜として扱われるので、少し安心しました。」
「家畜と同じになんてできるもんか。こんなに綺麗なのに。」
すると、エリーゼは驚いたように目を開いた。
「そんなことは…。エルフはその…醜い種族なのに。」
「どうして?どこが?」
「色が薄いからです。黒に近い色の髪や瞳を持つご主人様と比べると…私なんて恥ずかしくて。」
そういう判断基準なのか!
ようやく俺がたまにイケメン扱いされる理由がわかったぞ。
「正直に言っておく。君はすごく…その、可愛いよ。少なくとも俺にとっては最高に勿体無いくらい美人だ。」
ちょっとくさいかもしれないが、これは本心だ。
こんな美女、現世だったら二次元でしかお目にかかれないぜ。
エリーゼはパァっと顔を赤くした。
み…耳まで赤い。
「すごく…嬉しいです。」
か、可愛い…!
「あ、俺タカイ・マサト。冒険者をやってる、その、よろしくな。」
「エリーゼと申します。こちらこそ宜しくお願いします。」
エリーゼがベッドの上で三つ指をついてペコリと頭を下げる。
新婚初夜みたいだ…!
「え…あ、何か食うか?ってその格好じゃ外出れないよな。俺買い出し行ってくる!」
俺は気まずさに耐えられず、いや自分の欲望が爆発する前に部屋を出た。
そして次いでにさっき払いそびれた今晩の宿代を払う。
俺が部屋替えを要求しないから、おっさんの視線が寒いよぅ。
しかしエリーゼと同じベッドで寝れるならこんなもんへっちゃらだ。
二人で860ディナールか、まずまず良い部屋だし妥当だな。
大通りに出る。
ど、どうしよう。
まず、服だよな。
思い切ってちょっと高級そうなお店に入ってみた。
「いらっしゃいませ~。」
う、店員さん女性だ。
女性の服飾店だもんな。
「何かお探しですか~?」
「えっと…女性用の服一式…。」
30分後。
「ありがとうございました~。」
買ってしまった、色々。
まず普段着の黒いセパレートした上下。
スカートと迷ったが、エリーゼもダンジョンに行くことを見越してスボンにした。
短パン、腹出しは譲れないぜ。
どうせ鎧で隠れるけどな!
それから、白いロングキャミソールタイプのネグリジェ。
透けてます。ドヤ
にしても最初はどうかと思ったが、女性の店員さんにはすごく助かった。
巧みな話術で女性の奴隷を買ったと俺に吐かせた後、てきぱきとこちらの意図ドンピシャの品物を勧めてくる。
俺はもう途中から完全にこの店員さん相手に下心を隠すのを止めた。
それから下着も2枚買わされた。
アレ用だそうだ。
なるほど、これは女性じゃないとわからないことだ。
因みにこちらの世界の女性は下着をそういう時でないと履かないらしい。
ノ、ノーパン!
男はイチモツがあるからふんどしで固定する。
これはマルスに教わった。
そんなこんなでこの店で計2万ディナール使ってしまった。
悔いはない!
靴は…サイズが合わなかったら悲惨だからまた今度にしよう。
市場に向かう。
そこで、石鹸と布2枚、桶を買った。
市場のおばさん曰く、これで身体も衣類が酷く汚れた時も洗うそうだ。
次いでにお酢も買った。
確か、髪を石鹸で洗ったあと、お酢をつけるとリンスの代わりになると聞いたことがある。
あの長い髪が痛むのは勿体無いからな。
…やばい、思わずにやける。
ご飯はせっかくだからきちんと食堂とかで食べよう。
一応小腹が空いてるかもしれないから、パンのような物を二つ買って、帰る。
ここまでで32ディナールしかかからないのだから俺があの服飾店でどんなに散財したかわかるな…。
しかし一片の悔いなし!
部屋に戻って、荷物を置く。
俺の荷物の多さにエリーゼはびっくりしていた。
水筒と桶を持って受付で水をもらう。
おっさんの視線も慣れてきたぜ。
「えーとじゃまず手を洗おう。」
石鹸をちょっとだけ泡立てて手を洗う。
「これ、後でまたちゃんとご飯食べに行くから。」
「ありがとうございます。」
二人でさっき買ったパンを食べる。
ん、これパンかと思ったらおやきみたいだ。
けっこうウマい。
「美味しいです。」
もぐもぐしてる口が可愛らしい!
「水飲む?」
「あ、ありがとうございます。」
間接キッス二回目!
このために水筒を買わなかったのだ!
でもダンジョンの時困るから、明日は買わなきゃな。
さ、ここからが本番だ…!
「あ、あのさ、か…かかか身体洗う?」
やべっ!
めっちゃ吃った!
下心バレバレ!
「…はい。」
理解したのかエリーゼは顔を赤くして下を向いた。
「じゃ服脱いで。」
エリーゼが静かに上着を脱いだ。
服と共に持ち上がった胸が服が脱げるとプルンッとこぼれて揺れた。
キターーー!!
凝視しないようにしないように自分を戒めていたが、それは無理だ!
エリーゼがズボンも脱ぐ。
本当にノーパンだ…。
ダメだ、ちょっと耐えられそうに無い。
「これで、身体と髪洗ってて…。」
何を隠そう童貞の俺にはこれ以上はレベルが高過ぎた。
桶と石鹸を指し示すと、俺は部屋を出て前屈みに廊下の角にある厠へ飛び込んだ。