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第三話

 大事件が勃発しました!! あ、まだ勃発はしてないや。でもキッカケが始まったぜ。

 かの有名な『池田屋事件』

 部下が枡屋の喜右衛門さんをとっ捕まえてきたとです! 俺でも知ってるんだもんねーこの人古高! なーんもしゃべってくれないけど俺知ってるもんねー(・∀・)ニヤニヤ

 

「そろそろしゃべる気になりませんか?」


「……」


 強情な人や。ぐるっぐるに縛り上げてほっぺ( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーンとかしてるのに、悲鳴一つ上げやしねぇ。俺なら即行で吐いてるな。

 

「僕が吐かせましょうか?」


 いやいやいや、宗次に任せるのは怖すぎる。供述をとる前に血まみれになって死んじまいそうだ。

 そういや史実の土方さんは相手の手足に釘打って、その釘にローソク立てて燃やしたりしたらしいよ。そんな恐ろしい真似、俺にゃムリムリ。

 というわけであれだ、宗次。お前さんはひとっ走りネコジャラシを取ってきてくれないか? それか、ニワトリの尾羽とかでもいいぞ。

 宗次はニヤリと笑って監禁部屋をスキップで出て行った。あのツラは俺の思惑を完全に理解してるな、恐ろしい子や……。

 そして牢屋なんてものはないからと何故か納戸の片隅に残ったのは、俺と古高さんの二人だけ。

 

「ねえねえ、今のうちにしゃべっといた方がラクになると思いますよ、古高俊太郎さん」


「……!」


 あ、しまった。本名で呼んじゃった。……まあいっか、他に誰もいないし。ばれないばれないw


「俺ね、本当は手荒なことしたくないんですよ。古高さんの気持ちもわかりますし、仲間裏切りたくないってのも充分承知してます。でもほら、俺も役職上、計画を吐いてもらわんと困るとですよ、京都大火と天皇遷都」


 あ。また口が滑った。ええねんええねん!

 

「……どこまで、知っている」


 捕まえてきてだいぶ経ったけど、この人の声、今初めて聞きました。意外とシブい声をしてらっしゃるとですね。つーかしゃべれたんですね……。

 

「まあ、大体全部知ってます。でも確信はあるけど証拠がないからさ、アンタから聞いたってことにすれば身内も信じてくれるし……って、別に吐いてもらわなくても、それでいいか。でも答え合わせしときたいしなあ……。俺、正直に言うと古高さんも含めた長州の人たちとケンカなんかしたくないんですけど、この計画ばっかりは阻止しとかないと、関係ない人がたくさん死んじゃうじゃないですか」


 主に俺が巻き添えになるのがゴメンです。

 

「話しちゃ、もらえませんかね?」


「……断る」


……お、宗次が帰ってきた。って、そいつぁ多すぎだろ、ネコジャラシ。腕一杯に抱えてきやがった。


「だって、僕も参加したいですもん」


 なんか目がきらっきらと輝いてらっしゃる。コイツ、あれだ、性格悪いな! 知ってたけど!!

 

 

 それからしばらくの間、古高の悲痛な笑い声が壬生に響き渡ったとでした……そして情報ゲットだぜ!

 とはいえ、ココからが忙しい。まず近藤さんに報告して、組長会議にかけて、隊の編成をして……俺は絶対に池田屋には行きたくないから……情報が間違ってた時の用心とか何とかこじつけて、平隊士連れて適当に街の見回りでもしているとしようかな。んで、終わった頃にタイミングを見計らって池田屋に向かおうそうしよう、よっしゃ完璧。

 

 

「よっし、じゃあオレが何人か精鋭を引き連れて池田屋に向かう。歳は別働隊として周辺で動きつつ、状況を見て動いてくれや。連れてくのは宗と……永倉くんと、藤堂くんあたりかな」


「近藤さん近藤さん、それと斎藤と原田、ついでに井上さんも連れてっちゃっていいよ」


「おいおい、それじゃお前の方がとんでもなく手薄になっちまうじゃねえか」


 大丈夫だ、問題ない。……池田屋で間違いないって知ってるからね。

 

「オレの方は人数さえいれば大丈夫だよ。それより、万が一にでもアンタを失うわけにゃいかねえからな。アンタの強さは身をもって承知してるけどさ、それくらいの人数なら揃えといて損はねぇだろ」


「まあ、歳がそう言うんなら信用するけどさ、ホントに古高の証言はアテになんのか?」


 なるなる。未来人のオレが保証します、なんて言えないけどな。言ったらまた打ち所がどうこうって泣かれるんだろうか。

 

「わかった、信用するよ。今夜はいずれにしても戦になるな。今のうちに隊士たち集めて説明しとくか」


 せやね。でもそういうのは近藤さんにお任せします。なので俺は各隊組長を集めてその旨説明しといた。宗次は思う存分剣が振るえるって喜んでたし、原田もワクワクしているようだった。斎藤は無表情だった。俺コイツの考えてることがよくわからん。無口な上に愛想もないし……。

 とはいえ、大半のメンバーは気合が入っているように見えた。よし、これなら俺がハッパかけるまでもないな。俺のために頑張ってくれたまえ諸君。

 

 

 そして各々が入念な準備を終えての、夜。

 

「っしゃあオマエラ、根性入れて京の町守るぞゴ━━━━(# ゜Д゜)━━━━ルァ!!」


 近藤さん、アンタは気合が入りすぎです。空回るなよ、アホ頭領。

 

 

 当初の予定通り、俺は別働隊(人数だけ見れば本隊だけど、幹部ほとんどいやしねぇw)を率いて京の町を巡回していた。空き巣を一匹捕まえただけで特に問題もなく、しばらくすると監察方から池田屋で間違い無し、近藤さんたちはすでに突入済みとの報告を受けた。

 そして俺様、華麗に池田屋に参上!! 人数を半分に分けて、片方には池田屋を包囲させて、残りは屋内に突入させる。建物の中だし、全員で殴り込んだら大渋滞が起こるからね。

 

「突撃!」


 まさかこんな台詞をリアルで言う日がこようとは。

……ありゃ? 何か知らんがワラワラと人が集まってきたな。ドッタンバッタン言ってるからな、野次馬か。

 そいつらの中には刀や槍を持ち出して中に入ろうとしてる奴らまでいやがる。危ないからね怪我するからね、入らないでねー、とっととおうち帰んなさいね。

 え? 野次馬じゃなくて会津藩の人たち? わざわざ会津から野次馬に来たとですか? ご苦労様です。でも立ち入りは禁止ですよっと。池田屋を包囲してる部下どもにも、絶対に誰も中に入れないようにって言明してあるからね、ご愁傷様です。

 ……っと、今度は中から人が出てきた。戸板を担架代わりにして、怪我人を担いで出てきた模様です。頭から血をダラダラと流している藤堂が運び出されてきたみたいだけど、『オイラまだやれる!!』とか叫んでるので多分大丈夫だろう。アタマって必要以上に血が出るみたいだしね。

 そしてほどなくして、もう一人運び出されてきた……宗次!? 場合によっては近藤さんをも打ち負かすほどの子がなんでやられちゃってんのよ!!

 

「沖田さんは突然倒れられて……揺さぶっても目を覚ましません!」


 こらっ、脳出血とかだったらどうすんだよ安易に揺さぶっちゃいけません! あ、でもそれだったらぶっちゃけこの世界じゃ助からないか……沖田総司が脳卒中で死んだなんて聞いたことないから大丈夫だろ、多分。

 なんてクールに解説しているようだけど、正直俺はテンパりすぎて、屯所に運んで寝かせておけって言うのがやっとだった。だって、だって宗次だべ!? 他の誰でもない、宗次だべ!!

 

 その二人のほかにも数人の軽症者が出たものの、おおむね池田屋事件は史実どおりこちら側の大勝利に終わった。

 気がつくと周囲がほの明るい。すでに夜が明けたにも関わらずあんまり眠くないのは、やっぱりそれなりに興奮しているからなんだろうか。

 あ、まだ会津の人たちが右往左往してる! これから現場検証ですからねーまだ入れませんよ。とっとと帰れやシッシッ。

 

 まだ元気の有り余っている部下たちと監察方に、死傷者や池田屋の中を改めさせる。俺が入ったら多分血を見て卒倒すると思うので、全部部下たちに任せて引き続き野次馬整理に勤しんでいた。

 近藤さんたち最初に突入したメンバーは、無傷でも相当お疲れだろうと思うので、無理矢理屯所に帰らせる。

 そして、店先にずらっと死体が並べられた……だいぶ慣れたな、死体見るのも。ほら、切腹させてるからさ。相変わらず気分悪くなるけど。

 部下から、池田屋の地下から大量の火器が出てきたと報告が上がった。ラッキー、これはそっくりそのままパクっちゃおうっと。

 

 死体の身元確認だの後片付けだのに追われて、お仕事が全部終わったのはその日の夕方になってからだった。色々と気にかかることはてんこ盛りなんだけど。宗次とかの様子も気になるけど。

 とりあえず俺、帰ったらまず、寝るんだ……。

ついに始まりましたW杯。

西村主審のアレは誤審じゃないと思うのよね。

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