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第二十五話

 さて、俺たちは現在船の上なのですることが無い。

 怪我人がいれば看病とかもできるんだろうが、そいつらはまるっと別の艦に乗せて先に江戸に送りつけた。

 ガチですることが無い数日間の船旅、さてどうしようか……。

 

「とりあえず今後どうするかじゃねぇか?」

 

 うんそうだねぇ。江戸に戻ったところでまずは本拠地から決めなきゃいけない有様だし。

 とりあえずしばらくは会津藩邸に預かってもらうかなぁ。

 

「あー、そこんとこはオレが話するから問題ねぇと思うが、長期間は絶対ムリだからなぁ。とっとと新しい屯所なり何なり見つけねぇとな。そっちは歳に任せるぜ」

 

 結局俺が雑用か……って、ん?

 

「どした?」

 

 俺の独り言に的確に相槌を打ってくるのは誰かと思って顔を見たら、何故か近藤さんがそこにいた。当たり前のようにそこに立っていた。なじぇ?

 

Q、なぜ近藤さんがここにいるのでしょう。


1、俺が使者を送って連れて来させた。

2、近藤さんが大阪に置いてきぼりヤバイと思ってついてきた。

3、何か不思議な力がはたらいた。

 

 ……で、アンタなんでここにいるんだよ。

 

「いやぁ、幕軍がヤバイって聞いてからいても立ってもいらんなくてよぉ。千両松のあたりからオレいたんだけど……あれ、きづかなった?」


 気付くか馬鹿!! いたんなら俺が指揮取る必要もなかったんじゃねぇかよ!! ああもうどうしてこの人はサボりたがりなんだ……普通は俺がサボりたがりポジションじゃねえのか? つかサボりたい。逃げたい。もう嫌だ。

 

 リアルにorzしている俺の背中をポンポンと叩くと、近藤さんはニッカーっと笑った。畜生いい笑顔だぜ……。

 

「いやー、歳に任せてよかったよ。被害も最小限ですんだみてぇだし、幕軍が負けたのは痛てぇが江戸にもどりゃまだ何とかなる。それにしてもいつの間に榎本さんと顔見知りになったんだ? オレにも紹介しろよコノヤロ」

 

 ……俺、もしかして試されてたんでしょうか……。で、下手にうっかり有能っぽいところを見せたもんだからこれからも丸投げされるんでしょうか……。

 

「お前さんがいてくれてよかったよ、歳」

 

 ほめられている気がしません……。

 でも、まぁ、冷静になってみりゃ、近藤さんのこと忘れてた俺としては、勝手にこの船に乗り込んでくれたってのは助かる。いや、マジですっかり忘れてたもんなぁ。あのまま大阪に置いといたら下手すりゃ捕縛されてあぼーん……っておい、近藤さん、宗次はどうした!?

 

「あー? とっくに富士山艦で送りつけたよ。ほっとくわけにゃいかんだろうが。お前もこの辺はまだまだだな。ま、使えない人間をシカトしてたのかもしんねぇけどよ」

 

 ……しませんよ、そんなこと。よかった、宗次も無事か。ということは、宗次の療養場所もどっか見付けてやらないといけないな。松本先生にお願いするかなぁ……あ、近藤さんもついでにその肩の傷、松本先生に診て貰ってこいよ。

 

「あー? オレぁもういいよ。今更どうしようもねぇしな。刀のこたぁキッパリあきらめたからよ、ほら、お前んとこの銃士隊が使ってる、あの銃を一丁オレに譲ってくんねぇか?」

 

 そりゃいいけどさ……本当に、いいのかな。

 

「なんだよそのツラ。代金代わりにいいモン買ってきてやったからよ、文句言うなよな」

 

 いいモン?

 不思議がる俺を近藤さんが半ば無理やり連れて行った先は倉庫。何買ってきたんだ全く、芹沢さんほどじゃねえが、この人も結構衝動買いするんだよな。またバッタモンの名刀高値で買わされたんじゃねえだろうな。

 

「どうよどうよ」

 

 案内された先に積んであったもの、それは。

 

「……へ? こ、近藤さん、こりゃあ……」

 

 近藤さんの鼻が天狗になっている。そりゃ俺もびっくりだ。

 そこにあるのは銃剣……銃の先に据え付けるタイプの……剣っつーよか槍だな。それがずらっと50個ほど並んでいた。

 

「アンタどうしたんだよコレ!」

 

「いやー、大阪の商人っつぅのは何でも商売にするんだなぁと思ってよ。ものめずらしいからお前んとこの銃士隊の人数分、まるっと買い上げてきた。結構高かったぜぇ? 新政府軍の流出モンらしいけど、まだまだ充分使えるだろ」

 

 この時ばかりは近藤さんの浪費癖に感謝した。こいつがありゃあ銃士隊のレベルアップが図れる!! 下手すりゃ単独行動も不可能じゃない!

 

「だからほれ、銃一丁、よろしく頼むぜ? あーそれと、使い方も懇切丁寧に教えてくれるよな、歳ぃ?」

 

 近藤さんが横でニヤニヤしている。殺すか? ……いやまじで感謝するよ、近藤さん。


 さーて、ということはだ……怪我人の出ていない元気な銃士隊メンバーを叩き起こして、江戸までの間みっちり銃剣術の特訓といきましょうかねぇ(・∀・)ニラニラ

 おい逃げんなよ近藤さん。アンタもだぜ?

 

 

 こうして、江戸までの道のりは非常に短く感じましたとさ。到着したらさらに徹底的に扱いてやるから覚悟しとけよー!!

 

 

安定の忙しさ。

今年逃したらもう一生優勝できないかもしれない、飛ばないヤツはサガントス。

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