『another side ……牙突ジャナイヨ? ホントダヨ?』
俺の極めた(のには程遠い)必殺技、それは突き。
別にるろ剣の斎藤さんが使っていた某技を真似したわけじゃないんだよ! マジで!
それはまだ多摩にいたころ、いっしょけんめ剣術の練習をしていたころでした。
「っやぁ!」
その他の技と一緒に突きを練習していてふと思ったとです。
……あれ、これ避けられたら引く以外にどうしようもなくね?
山南さんに聞いてみると、それが突き技の弱点でもあると言われた。
じゃあさ、他に利用できるように突き自体を改造しちゃえばよくね?
一理ありますね、と応援してくれた山南さんとともに色々試して出来たのが、刀を横に寝かせて突く『平突き』なのです。
俺の場合は右利きだから刃を右(外側)に向けて、相手の(俺から見て)左側目掛けて突く! そしたら大抵の人間は(俺から見てだよ)右に避けるから、右を向いた刃でそのまま横薙ぎにつなげられる!!
唯一つ問題が。これ、かなり腕力というか腕にキます。練習中に何回腕つったかなぁ。
そんである程度形になったところで、近藤さんに相談を持ちかけた。もっと強力にする方法はないかと。したら、右手での突きに勢いを持たせるために、予め左手を前に突き出して刀を持った右手を後ろに引き、体を軸に回転させつつ左手を後ろに引く勢いで持って右手で突きを繰り出す、なんて方法を教えてくれた。
これ、かなり腰にキます。一回ぎっくり腰になって運ばれました。
その後も山南さんや近藤さんと話をして試行錯誤して、俺流の突き技『平刺突』が完成したとでした。
一番いい点はね、剣術のイロハもしらんような素人でもそれなりに殺傷力があるのよ、この『平刺突』は。普通に剣で人を斬る時って、筋肉やら骨やらの位置を考えて斬らなきゃいけないんだよね。ほら、例えば心臓あたりを狙いたい、って思った時に、普通に斬ったら肋骨が邪魔してうまく斬れないじゃん? そんなかんじで。
それに比べて『平刺突』なら、逆にピンポイントで骨を狙う方が難しいわな。力さえあれば簡単に相手を貫ける。
というわけで、新選組ではまず最初に道場でこの『平刺突』を徹底的に体に叩き込むところから始めます。あ、ある程度剣の腕を持っている人は別ね?
んでそれから、各人の得意技をとにかく磨いて、俺のように『必殺技』と呼べるようになるまで頑張ること。
なので隊士によって、必殺技は振り下ろしだったり足払いだったり、蹴りが必殺技って奴もいたな。
……ん? 『必殺』できなかったらどうするのかって? そりゃアンタ、逃げるがな。
堂々と逃げると士道不覚悟で切腹になっちゃうので、こっそり逃げますがな。味方の背後に回りこむとかね。手段はいくらでもあるとですよ。
そう! 俺の盾にするために、集団戦法を推奨したんだなんて、大声で言えやしねぇ!!
ちなみに俺の『平刺突』は真剣でないとあんまり効果が無くて、道場では引き続きフルボッコくらいましたとさ。チックショウ!