第二十二話
あ……ありのまま 今 起こっている事を話すぜ!(以下略)
事は俺が長州に行った時、桂さんの言葉にだまされて(いや本当のことかもしれないけど)薩摩の大久保利通を疑いまくって密偵を張り付かせたことから始まった。
その後、坂本さんが暗殺された後も引き続き探らせていたんだけど、年の瀬になって、ソイツが捕まった。
ここまではよくある話なんだけども。
……大久保さんの名前でお手紙届きました。捕まえた子返すから『土方歳三が』身元を引き受けに来い、だそうです。なんで俺ご指名?
だがこれはチャンス!! いや9割9分罠だとは思うんだけど、全く縁のなかった薩摩の方から俺に接触してきたんだ、行かない手はない!! っていうか行かなかったらこのままなし崩しに戊辰戦争突入しちゃう! そうなったらもう薩摩と対話する機会なんて皆無だ。
俺は腹を括った。これが最後のチャンスだ、絶対に何とかしてみせる。
そんな訳で伏見から薩摩藩邸に出向きました。予想外なことに、俺はふつーにお客さんとして迎えられたとです。ただし、あちこちから殺意の眼差しがザックザク突き刺さってきます。痛い、痛いよ……針の筵に座らされてる気分だよ……。
そして一室に案内され、程なく一人のモアイ……あ、いえ、オッサンが入室しました。え、コレダレ?
「お初にお目にかかります。私、薩摩の大久保利通と申します」
えっ、エエエ!? おっ、大久保利通っていきなり重鎮デタ━━━゜(∀)゜━━━!!!! なんか最近こればっかだな。
っていうか、大久保利通っつったらヒゲモッサーのダンディーなオジサマなイメージがあるとですが、どちらかというとこれは民主党の岡田さんを若くした感じ……に、見えなくもない。マジか?
「あ、あの……初めまして、新選組の土方歳三です。お手紙を頂いたので参上つかまつるぃうぇっ!」
かんだ上に舌噛んだ。大久保さんは涙目の俺を見ながらプルプルしている……え、ウケた?
「普段の言葉遣いで構いませんよ。私もお国言葉では通じないと思い、このような言葉で話しておりますが……っ、私も、その、噛むかもしれませんし……くくっ……」
何かツボに入ったらしい。予想外だ、大久保さんこんなキャラだったんだ……。
「それにしても、新選組の副長が帯刀すらしていないとは……どういうわけですかな?」
俺、剣持ってたってたかが知れてるし、薩摩に対して害意がないことを精一杯示してるつもり……そーゆうワケです。
「あ、あとこれ手土産です。しょーもないモンなんですが……ウチの親族の家で漬けた大根です、ウマイんでよかったら召し上がってください」
大久保さんは目の色変えて、箸を二膳持ってくるように言いました。程なくしてお箸と山盛りの米が運ばれてきました。え? 食うの? 今ここで?
「よろしかったら一緒にいかがですか? いや、私、漬物には目がありませんでね……食事もまだでしたし」
知らんかった。漬物好きなんだ……っていうか毒とか盛ってたらどうするつもりだよ!? いや盛ってないけど。せっかくなんで俺も頂こう。んで俺が先に食えば毒が入ってないって証明にもなるしね。
静かな座敷にポリ……ポリ……と音が響き渡ります。シュールです。俺何しにここにきたんだっけ……。
「これは実にうまい! 是非もっと、金を出してでも譲っていただきたいくらいですな」
「あ、じゃあ今度またいっぱい持ってきます……」
手土産がなかったんで漬物持ってきただけだったんだが……予想外に喜ばれた。ていうかこの屋敷にきてから予想外なことが多すぎる。全然展開の予測がつかねぇ!
「さて、本題に入りましょうか」
箸を置いて、大久保さんは俺の目をじっと見る。負けずに見返す。
「伊東君の暗殺事件……きみは当事者でしょうから、無論知っていますね」
予想外ひたすら連打!! は? 本題ソレ!? なんでここで伊東先生の名前が出て来るんだよ。
「彼が殺されたあの夜……私に彼から連絡が届きましてね。夜も更けているけれど、今すぐに伝えたい旨があると……新選組について」
んなっ? 伊東先生あの日、ここ……薩摩藩邸に向かうつもりだったのか!? ああ、だからいつもと違う道を通ったのか……。
「彼は元新選組だということを考慮に入れても、それ以上に新選組に肩入れしている節がありました。特に、土方君、きみに対してね」
そうですね……伊東先生にはほんと良くして貰ったのに、こんなことになって申し訳ないです……。
「おそらく彼は、新選組を擁護するつもりで私に会いに来ようとしたのでしょう。……暗殺事件の詳細について、嘘偽りなく話していただけますか? 無論、話していただいたところで私が信用するかどうかはまた別問題ですが」
話して万が一信用してもらえたら、もしかしたら戊辰戦争回避に繋がるかもしれないよね。俺は藁をも掴む思いで、全てを話した。……俺って、基本的に嘘はつけない性格なんだよなぁ。ついでに坂本さんの件についても話しておいた。
「成程、わかりました。御陵衛士についてですが……彼らは新選組を心から恨んでいます。彼らを止めることは、どんな手段を持ってしても無理でしょう」
はい、それは重々承知しています。覚悟の上でああいう手段に出たわけですから。けじめはいずれつけますよ。
「それと、坂本君の件に関しては、きみの言い分がいちいちもっともな部分が多いですね。完全に信用するわけにはいきませんが、考慮には入れておこうと思います」
俺はひたすら頭を下げた。この人、予想外な人物像ではあったけど、威圧感とかは史実どおりに持っている。ちょっと怖い。
「あの……戦争を……徳川と新政府の争いを回避することはもう、出来ないんでしょうか」
「私は富国を念頭において様々な改革を行っていきたいと考えています。幕府が己の権力を全て放棄して新たなる政府と天皇の下でまとまった国を作り上げることが出来るならば、不要な争いは避けたいと願っています。ですが、徳川慶喜が大阪城に閉じこもって己の利権を確保しようと動いている以上……争いは避けられないでしょう」
……おk、把握した。全ての元凶は今のところ徳川慶喜なんですね。
「大久保さんの目指す立憲君主制……俺も大いに興味があります。一つの国に君主は二人いらない……そういうことですね」
「わかってもらえてうれしいですよ。ですがきみ達は会津公率いる幕府の先鋭部隊。私とこうして会話しているだけでも立場が危うくなる……そろそろ、終わりにしましょうか。こちらで捕らえた隊士はお返しします。これで、よろしいですか?」
「ええ、色々とお話を聞かせて、聞いていただいてありがとうございました。……非常に、参考になりました」
俺はもう一度改めて深々と頭を下げた。この人は、偉大な人だ。そう思う。それに比べて幕府は……俺達が命をかけてまで守る価値があるのか? 俺にはそう思えてならない。
つかまった密偵をよしよししながら、俺は屯所へ帰還した。確かに俺は新選組の一員。けれど俺には俺のやり方があるんだよ……。さて、刺客を選ぶかなっと。ちょっと未来の方向が定まってきたような気がするぜ。俺がやるのが先か、粛清されるのが先か……時間との勝負だな、これは。
日本シリーズを全試合見たらお金がなくなったので、
ちょっと出稼ぎにいってました……。
もうすぐ野球もサッカーも開幕です。
今年はサガンがJ1昇格果たしたのでまたちょっとアウェー行ってきます。
探さないでください。