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第二十話

 俺と近藤さんと山崎を除いて緊急の呼び出しに応じた隊士の人数は十九名。その中には永倉、原田、山口(斎藤)、井上などの幹部も含まれる。というか、主に幹部しか集まらなかった。

 

「土方さん……殲滅って……」


「言葉の通りだ、一人も逃がすな」

 

 突然の召集とターゲットに、みんなどうしようもなく戸惑っている、無理もない。ぶっちゃけ俺が逆の立場なら逃げ出す。だってつい最近まで仲間だった奴らだもんなぁ。

 御陵衛士は伊東先生を除いて十四名。実力差も考えて、ギリギリ何とかなるかどうかという所だ。どうにかする! 俺も出る! 引き止められたけどこればっかりは譲れない。決断したのは俺だからな、勿論死なないように逃げ回るとは思うけど、俺がその場に居ないわけにはいかねぇよ。

 

「十名はあちらの角で待機、残りは此処で御陵衛士を迎え撃つ」

 

 全員が来るかどうかは賭けだが……多分、来るだろう。俺らが待ち伏せているのを覚悟の上で。それを、斬る。

 何も考えるな。生き残る為に斬れ、斬れ、斬れ。俺は自分に言い聞かせる。

 

「……山崎、御陵衛士の屯所に向かえ。文を投げ込んだら此方に合流しろ」

 

「わかりました」

 

 山崎の影が消える。これで、あと半刻もすればここは戦場になるだろう。

 

「歳、大丈夫か? ……目つきが少しおかしいぞ」

 

 アンタに心配されるまでもねぇよ。俺は正気だ。でもマトモな人間やってたんじゃあこの修羅場は潜り抜けらんねぇ。今までの俺がいかに甘えてたかってのをよーっく思い知らされたよ。アンタや坂本さんや……いろんな人に甘えて今まで生きてこられたんだってな。

 俺は刀を抜く。人を斬る覚悟で刀を抜いたのは二度目。命を取る覚悟で抜いたのが、二回目。山南さんのときとは違う。明確に己の意思で相手を斬る。


「平気だよ。……アンタはさがってろ。仮にもウチの旗頭だ、こんなチンケな粛清で傷つかれても困るんでな」



 

「伊東さんッ!!」


 藤堂の叫び声が聞こえた。他数名……全員ではないか? いや、後から来るかもしれない。帯刀はしているが武装というほどではないようだ。これなら全員……やれるか。

 

「御陵衛士、覚悟!!」

 

 俺が先頭切って飛び出し、後に数名が続く。相手方の篠原、中西はすでに抜刀している。奴らが構える前に俺の刀をたたき付けるが、鞘で受け止められた。

 

「……なんで、どうしてっ!?」

 

 藤堂の悲鳴が響く。刀の音が鳴り響く。あちこちで鍔迫り合いの戦いが始まっている。

 

「おのれ新選組!! 伊東さんの仇!」

 

「一人も逃すな! たたっ斬れ!!」

 

 俺は二人を他の隊士に任せ周囲を見渡す。永倉と藤堂が睨みあっている……いや、手を出せないでいる。藤堂、永倉、互いに動けないままで何か話しているようだ。

 

「永倉、やるぞ」

 

「土方さん!」

 

 永倉の目が言っている、見逃してやるわけにはいかねぇのか、と。それができるなら俺だって苦労していない。

 

「悪いな藤堂……お前らを一人として逃すわけには……いかねぇんだよッ!!」

 

 反応の遅れた藤堂めがけて剣を振り下ろす。道場では俺が勝った事なんて一度もなかったけど、迷いのある藤堂と迷いのない俺。勝負は明白だった。

 

「平助!!」

 

 永倉が倒れた藤堂に駆け寄る。……もう、ここはほっといて大丈夫だろう、次……長槍を持った服部に苦戦しているようだ、即座にそちらへと加勢する。

 

「服部、お前だけだな……きっちり武装している奴は」

 

「どう考えても、普通にすむとは思えなかったんですよッ!」

 

 先ほどざっと見渡した限りでは、御陵衛士のメンバーは全員集結しているが、まともな武装をしているのは服部一人だ。ということは、コイツを叩ければ事は済む。

 

「山口、お前は向こうに加勢しろ、逃がすなよ。原田、行くぞ!!」


「おうよ! 服部さん相手に槍振るえるなんざ望外の極みだぜ!!」

 

 右手に槍、左手に脇差、槍は原田に任せよう。あの脇差を何としても止める。ウチでも一二を争うほどの腕前だった服部でも、俺ら二人がかりなら……!

 

 振るわれる槍の外側から左側の死角へと一歩踏み込む、服部の脇差が俺の腹を狙うが短い。刀と脇差ならリーチは俺の方が上だ! 鎧の隙間、左肩めがけて突く!!

 深くはないが浅くもない、俺の刀が服部の肩へ食い込み、奴はそれに気を取られる。さぁ原田、隙は作った!!

 

「もらった!!」

 

 原田渾身の一撃を、それでも彼はかろうじて槍の柄で受ける。けれどそれでこっちはがら空きだ。突いた刀をさらに深く突き込む。

 

「うっぐっ……」

 

 原田の槍が服部の槍を折り、俺の刀は彼の体を貫通した。その肩の状態でもなお脇差を振るおうとするが、うまくいかないのは当然。近距離ですばやく刀に持ち替えた原田の一撃が、彼の腹を裂いた。……終わったか。

 

「ま……だだっ!!」

 

 慌てて避けたが、服部の無事な脇差が俺の額をわずかに掠る。肩にダメージを受けていてなお、ここまで腕が上がるだけでも普通なら驚嘆すべきだろう。

 

「原田!」


「おう!」


 原田が服部の顎に刀を打ちつけて……今度こそ、終わった。服部は喉元から血を吹いて前のめりに倒れる。

 

 周囲を見た。大まかに戦闘は終わったようだが、死体の数が足りない。……やはり数名には逃げられたか。

 

 

 大きく息を吐いた。とりあえずは終わりだ……。俺の全身は藤堂と服部の血に塗れている。隊士を見る、大体は無傷あるいは軽症ですんだようだ。

 

「歳、三木と富山を逃がした。後、俺は見ていないが、篠原と加納も向こうから逃げたらしい」

 

 残された死体は、伊東先生のものと、服部、毛内、……藤堂は、死んだか? 永倉が抱きかかえているが、多分死んでいるだろう。残りは逃げたか……。弟の三木三郎をやれなかったのは痛いな。だがまぁ……強敵になりそうな人物はほぼ討ち取ったと言っていいだろう。

 

「監察は逃げた御陵衛士の行方を追え。やれそうなら殺せ。残りは屯所に戻る」

 

「何で殺さなきゃいけなかったんだよっ!!」

 

 永倉の、涙交じりの叫びは無視して、俺は屯所へと帰還する。早く血を洗い流したい……。永倉は、藤堂のことを弟みたいに可愛がってたからな……。ごめんな、本当に、ごめん、な。

 

 

 こうして、油小路事件は終わり、俺はこの日から悪夢に魘される様になった。

われらーのわれらのー

ソフトバーンクホークスー!!

(中の人の使用ケータイはあうー。)


CSで負けたら更新停滞します間違いなく。

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