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『アナザーサイド……伊東甲子太郎暗殺』

  ゆらゆら。ゆらり、ゆら。


 暗い夜道。伊東の持つ提灯の明かりだけが頼りなくも彼の足元のみを照らしている。

 心地よく回った酔いが、伊東の足を不安定ながらも常よりわずかに軽くさせていた。否、会談の結果が彼の望むとおりの物であったことが、その一因なのかもしれない。


 彼はふと何事かを思い立ち、何よりもそれが名案であるかのように思えた。


 伊東はしばし立ち止まり逡巡した後、提灯の灯をまるで見当違いの方へと向ける。元々帰るつもりであった現在の家処でもある御陵衛士の屯所ではなく、とある場所へと向けて。


 伊東は思い描いていた、己の行動が見据える未来の先を。それは素晴らしい物に違いないという確信を、彼は持っていた。御陵衛士にとっても、新選組にとっても、己自身にとっても、敬愛する近藤と土方のためにも。

 歩みは高揚する気分と相まって、徐々に駆ける。彼は酒に酔い、思想に酔い、そして眩いほどの未来に酔っていた。苦難は彼の障害にはならない。何よりもこの日の本の為に成さねばならぬ事があり、そのためには歩みを止める暇など彼には無かった。

 だが、その足の向かった先が、彼の息の根を止める遠因になるなどと、この時誰が予想していたであろうか。




 伊東の転回に誰よりも驚いたのは、山崎からの密命を受け、近藤の妾宅よりずっと伊東の後を付けていた安藤であった。

 彼はこの命の大本が近藤であることも、その理由も、……いざという時には伊東を殺害する可能性もある……どころか、おそらくその公算がかなり大きいということも、全てを言い含められていた。

 何事も無ければ、ただ隠れて近藤と伊東の会談を見守り、そして伊東が御陵衛士の現在の屯所である高台寺へと辿り着いた時点で役目を終えるはずだった。だが、彼は突然に方向を変え、しかも駆け出したではないか。

 己への密命の重さに力不足を覚えていた安藤は、帰路につく伊東の後姿に、むしろ安堵感を覚えてすらいた。だが、ここへきての指示にも触れられていなかった展開に、慌てて彼の後を追う。

 そして見えた先がこの場所でさえなければ、あるいは彼の判断を狂わせることはなかったのかもしれない。



 薩摩藩邸。



 まさか、いや、しかしこの方向は紛れも無く……。

 倒幕。土佐の坂本龍馬の暗殺。薩長の疑惑。伊東の行動。新選組。

 全ての事象が安藤の頭の中で綯い交ぜになって、何も考えられなくなってくる……。


 その時、伊東の独り言が耳に入った。

 距離を考えれば、ぼそりと言った彼の呟きが、安藤の耳に聞こえるはずも無い。

 だが、その時確かに、はっきりと聴こえたのだ。


「薩摩へ!」


 判断は一瞬だった。その言葉で薩摩藩邸に向かっているということを確信した安東は、刀を抜いて伊東へと切りかかる。

 刀は伊東の持つ提灯の光をわずかに反射すると、伊東の肩を切り裂き心臓へと吸い込まれていった。

 他に明かりは何も無い、薄暗い小路の中央。

 伊東の体は音も無く、その場所で崩れ落ちた。

さーて、こっからどうするかな。


とりあえずホークス優勝おめでとうございます

(・ω・`)もうCS敗退は嫌だお……

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